(高校生)

「お嬢様。今日街でお嬢様そっくりな姿の女の子が働いているのを見かけました」

 

「そう?世の中には似ている人がいるから」

 

そういって目を伏せて脇をすり抜けようとしたのに。

 

「お話はまだすんでいません。おかけ下さい」

 

「何?」

ちょっと強気に出てみる。

 

「学校で夏休み中であってもアルバイトは禁止されているはずですね?」

 

「してないわよ。そんな事」

 

「では、ある人の話をしましょう。表参道のカフェでバイトを先週から初めた高校生がいます。保護者許可はあると言う事だったので、店側も了承していたそうですが、事情が違うようなので、今日をもって解雇だそうです」

 

「やだ。山崎。なんで?」

 

「お嬢様の事ではありませんよ。そうですよね?」

 

「山崎の意地悪」

 

「意地悪ではありません。お分かりのはずですね?」

 

「やってみたかったのよ。ちょっと。

 

「家庭で了承をもらおうとしなかったのは何故ですか?」

 

「だって、駄目っていうでしょ?どうせ」

 

「いいます」

 

「じゃあ、いう事 事態、無意味じゃない」

 

「駄目といわれるのが分かっていて、こっそりアルバイトをするなんて、もっといけないことです」

 

「話が摩り替わっているわよ」

 

「いいえ。論点はここです」

 

「だって、やりたかったんだもの」

 

「それはもう聞きました」

 

「お嬢様の口から反省の言葉をお待ちしていましたが一向に出てこないので、お仕置きすることに致します」

 

「山崎―。お仕置きは堪忍。ごめんなさい」

お仕置きの一言で途端にしおらしくなる。あわてて口からでるコメンナサイ。

 

「やっと『ごめんなさいですか?』それは悪い事をしたという反省ですか?それともお仕置きをしないで欲しいので泣きついているのですか?」

 

「悪い事をしたと思っているわ」

ちょっとむくれたのは本心を見抜かれて悔しかったから。

 

「そうですか。では悪い事をしたら、私からお仕置きをもらう事も決まりになっているのはご存知ですね?」

 

「今回は見逃して。お願い」

かわいく頼んでみた。学校の若造担任なんて、女子高生に結局は弱くて、日々、こうしてかわしてる。

 

「やれやれ。お嬢様の口からそんな言葉が出てくるとは。私も随分なめられたものですね。

いいでしょう。口の利き方からお教えいたしましょう」

 

 

「えっ」

ヤバイ。

 

「あの。ごめんなさい。素直にお仕置き受けます」

 

「そうですか」

ニッコリ。

 

「では、泣き虫のお嬢様が泣かないで我慢できたら終わりにしましょう」

 

「さあ、膝の上にお尻をだして下さい」

 

いやな山崎。泣かないなんて言ってないのに。

パチン パチン パチン パチン

山崎のお仕置きは飛びっきり痛い。

パチン パチン

どうしてこんなに痛いのかしら?

いつもこんなに痛かったかしら?と必ず思うほど、

ビックリするくらいに痛い。

ピリピリとするお尻の上に正に痛いその箇所に

畳み掛けるようにどんどん叩くからたまらない。

今日は泣かないって決めたのに、決めたのにもう。もう駄目。

 

「ひっく。ひっく」

 

「まさか泣いているのではありませんよね?まだ全然痛くないはずですよ」

 

「な、泣いてなんていないもの」

 

「そうですか。よかったです。まだ始まったばかりですから」

 

相変わらず気がお強いようで。お嬢様。

 

「痛い。痛い。もう堪忍して」

 

泣かないって言ったけど、痛さのあまり、涙がじわってあふれてくる。

 

「悪い事も分からないお嬢様ですから」

 

「分かってるわ。何が悪い事くらい。ひっく。ひっく」

パチン パチン

 

「痛いわ。ひっく」

 

「悪い事がわかっていても反省が出来ないようでは終われません」

 

「ごめんなさい。悪かったわ。山崎。本当よ」

 

「もうしませんという言葉も頂かないと」

 

パチン パチン。

「もうしません」

 

すぐに言ったのに、まだ手は止まらない。

「ねえ」

 

「ねえ。もう許して」

 

パチン パチン パチン パチン

 

「そうですね。私に嘘をつこうとした事と、二度と見逃してという言葉を使わないようによくお教えして終わりましょう。それと、もぞもぞ動いて逃げようとなさるのもおやめ下さい」

 

パチン 

パチン パチン パチン 

パチン 

 

「分かった。十分に分かったから。山崎は十分に怖いし、もう嘘ついたりしないから。」

 

フッと思わす息が漏れる。

結局私はお嬢様には弱い。こんなに怖がられていても、

本当のところは他の使用人と同様にお嬢様には甘い。

お嬢様はお気づきではないでしょうが。

 

パチーン

「ではこれで終わりに致します。」

 

「お嬢様自身でアルバイト先にはお断り下さい。私が断ったというのは嘘ですから」

なっ。意地悪。

山崎ったら、さっきのは、どこまで本当だったのかしら?

もしかしたら、カマかけられたとか?

本当の事はどれなの?山崎?

 

「お嬢様、また悪い事したらお仕置きですよ」

それだけ言って部屋を出て行ってしまった。

 

 

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