(高校生)

 

「お嬢様、でも、山崎様に叱られます」

 

「いいじゃない。こっそり部屋に運んで頂戴よ。退屈で仕方ないわ」

 

「お嬢様、困ります」

 

「小百合が内緒にしてくれたらわからないでしょ」

 

「小百合は私が退屈で仕方ないと言っているのに、それでも駄目だというの?」

 

「でも、山崎様にお勉強の課題を出されているとお聞きしていますが」

 

 

「そんなの、もうやったわよ」

 

「いいから、ねえ。テレビも見れないし、退屈なのよ」

 

「何の密談ですか?」

ギク。

「山崎・・・?」

 

「なんでもないわ」

 

「では、小百合に聞きましょう。お嬢様から何を頼まれたのです?」

 

「いえ。なにも。」

 

「お嬢様、小百合は口を割ろうとしませんね。お嬢様は使用人に辛い思いをさせるのですか?」

 

「わかったわよ。小百合もう下がって良いわ」

 

「いいえ。わかっていません」

 

「小百合はここにもう少し」

 

「はい」

 

「さて、お嬢様。お嬢様の口から聞きましょう」

山崎がベッドの傍の椅子に座る。しかも、腕組んで。

 

この状況って。

 

「私が学校を休んでいいといったのは、ダラダラ過ごしていいといったのではありませんよ」

 

「わかってるわよ」

 

「では、何故小百合に漫画を買ってこさせようとしたのです?」

 

「なんで!聞いていたの?酷いわ山崎」

 

「それから、堅物の山崎がこれからお仕置きをいたしましょう」

まずっ。いつから聞いていたの?山崎ったら・・・。

 

「ごめんなさい」

 

「お仕置きはしないで。昨日のがまだ痛いの」

 

「急にしおらしくしても駄目ですよ」

 

「膝の上はまだ無理でしょうから、昨日のようにベットにうつ伏せにおなり下さい」

 

「山崎。お願い」

 

「おやおや、私にお願いしても駄目だと理解いただいているはずなのに、この後に及んでまだ悪がきですか?」

 

「そんな。あてつけのように言わないでよ。本心じゃないわ」

 

「そうですか。では、お仕置きを致しましょう」

 

「小百合、昨日使った鞭をもってくるように」

 

「や」「お願い。お願い山崎。本当にもう無理なの」

 

「お嬢様、下着を下ろしてください」

 

「イヤ。嫌よ。山崎。悪かったわ」

 

「お嬢様、さあ」

絶対に耳も貸してくれない。

 

肩をさりげなく押されて、あがえない。
しぶしぶ、ベットの上にうつ伏せまでにはなったものの、あの痛みを2日連続というのはどうにも耐えられない。

 

「もう少ししてから、お仕置きを受けるから、今日は堪忍して頂戴」

手でお尻を隠す。

 

よほどお嬢様は昨日のお仕置きが辛かったご様子。ちょっとこれは可愛そうか。

 

「では分かりました。小百合が見ている前で、私が手でお尻を叩きましょう」

 

「見ている前なんて嫌よ。小百合は今すぐ出て行って」

 

「はい。お嬢様」

 

「小百合、待ちなさい。板ばさみにしてすまないけれど、もう少しここにいるように」

 

「・・・はい」

 

「お嬢様、では、お選び下さい。鞭と手とどちらがいいのかを」

 

「そんな」

 

下唇をおもわず、軽く噛む。ちらりと小百合を見ると、小百合の方がいたたまれないのか、さっきから下を向いたままだ。

 

「鞭じゃない方にして」

小声でボソっという。

 

「では、下着を下ろしてください」

 

「小百合はこっちに」

もうどうにでもなれっていうのよ。

 

「あ。」

思わず小百合の声が漏れる。

 

「すみません」

 

「いいんだよ。小百合。お嬢様は悪い事をしたんだからこうなったんだ」

 

恥かしいわ。山崎。そんな事小百合にわざわざ言うなんて。

 

「私のいいつけをそむくと泣くのはお嬢様になる事を小百合もよく覚えておきなさい」

 

「はい」

パチン パチン

 

昨日叩かれた上にさらに痛みが加わるとなると、ちょっとの痛みでも我慢が出来ない。

 

「ごめんなさい。山崎。もう皆に迷惑をかけないから」

 

「昨日お尻に痛い思いをした事をすぐお忘れのようですからね」

 

「昨日は一人無理をなさって、結局 皆に迷惑をかけ、今日は我侭を言って迷惑をかけ、ですか。結局お嬢様は基本的な所が理解いただけていないようですね」

 

パチン パチン パチン パチン

 

「してる。理解してるもの」

 

「酷いわ。山崎。私ちゃんと理解しているわ」

 

パチン パチン パチン パチン

勿論、理解していて、我侭を言っているのでしょうね。お嬢様。

だからこのような事になるのですよと口に出して小言を言わない代わりに、

パチン パチンと 痛いお尻をさらに赤くしていく。

 

「さ、いつまでも泣いていては恥かしいですよ」

 

痛さのあまり、たっぷり泣いていた。そんな痛いお尻に、

いつの間に取りに行ったのか、百合が冷たいタオルをそっと置いてくれる。

 

 

「一時間後、また来ます。退屈のようですので、昔のように、少し勉強を見て差し上げましょう」

 

「え。いいのに」

 

「何か仰いましたか?」

「・・・」

「なんにも言ってないです」

 

あーあ。

まさか昔のように、またスパルタ教育ではないと思うけど、

山崎はキリがいいところまではやめないから。そのキリまでが辛い。あーあ。

 

「お嬢様、ため息をつくのは感心しませんね」

 

「はーい」

 

あーあ。明日はなんとしてでも学校に行こう。

 

「さあ、先ほどは課題が少なすぎたようですからね。時間はたっぷりあるので予習もできますね」

 

やっぱり、山崎は全部聞いていたんだわ。

 

「盗み聞きなんて酷いわ」

 

「お嬢様、姿勢が悪いようですね」

 

 

「お尻が痛いのよ」 心の中で追加する。−山崎の馬鹿力のせいで。−

「ねえ。聞いているの?」

 

「子供の反抗的な言葉に耳を貸すつもりはありません」

 

「さ、数学の教科書を出して下さい」

 

「はい」

 

結局、やっぱり山崎には頭がまだ上がらない。

どうせ、これ以上言った所で最後には口で言い負かされるか、

悪ければまたお仕置きが待っているだけなのはいつもの事。

 

いつもの事と分かっていても一言、言わずにはいられない性格。

口は災いの元かぁ。

 

「お嬢様、聞いているのですか?」

 

「はい。」

 

お目付け役が見ている間は他の事考える隙もないの・・・。

 

「それと、これが終わったらちゃんと小百合に謝るのですよ」

 

 

さっき『ゴメンね』って言ったのに。

 

「お嬢様?」

 

「はい」

 

はい。はい。はい。

 

「ご自分が悪いときは使用人にでもちゃんと謝りなさい」

 

山崎が念を押すなんて、また顔にでちゃったかしら?

 

 

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