土曜日に。って言ってあったのに・・・。

 

一人で毎日行ってるいるらしいじゃないか。

スミレの花を見にあの丘へ。

 

 

 

「ゼン、明日だね。スミレ見に行くの。明日だね。」

嬉しそうに、何事もなかったかのように部屋に来て、カーペットに寝転がって図鑑を見ながらこっちを見る。

 

「もう、自分で見に行ったんだろ。」

 

 

「行ってないよっ。」

最近平気で嘘をつく・・・

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。」

「行くよね?ゼン?」

急に不安になったのか、そういって机の傍まで来る。

 

「今仕事中。それと、明日は行かない。」

 

「なんで?約束したでしょ?スミレとゼンと見に行くって。明日見に行くって。」

 

「自分で授業さぼって見に行くような悪い子は知りません。」

 

そういって書き物を続ける。

時には突き放すべしとルカに言われてる。

 

「ゼン?怒ったの?怒ってないよね?怒ってないゼンの事が好きなのに?」

 

「怒ってます。」

「やだー。」

 

「やだじゃない。」

「あああああーーーん。」

「泣いても駄目。」

抱きついてきて仕事にならない。でも、無視して書き物を続ける。

 

 

 

あきらめて部屋を出て行ってしまったが、お仕置きするために連れ戻さなきゃな。と

ゼンが思っている頃、

 

「ゼンがいじわるした〜」

そういって泣きついた先はルカの部屋。

 

「ヒック。ひっく。」

 

「スミレが悪いんでしょ?」

「悪くないもん。ゼンが悪いんだもん。」

 

「そんな事言っているうちはゼンは一緒に行ってくれないよ。ごめんなさいって言っておいて。」

 

そういって魔法の言葉を教えて一緒について行ってやる。

なんで俺まで巻き込まれているんだ?と思いつつ。まあ、ゼンに貸し10だな。

 

「ゼン、スミレがいう事があるって。」

 

おーおー。わざとらしく書き物なんかしちゃって。

「ゼン?」

そっとスミレがゼンの名前を呼んでゼンの様子を伺う。

「なんだいスミレ?」

答えるように、優しい笑顔。なわけがなく、真面目なちょっと厳しいい顔のゼン。

 

「ルカ、ルカが言って。」

はしっと足に絡み付いてくる。

スミレの視線に合わせるようにしゃがみこむ。

こっそり小声で教えてやる。それはスミレが言わないと意味がない事を。

 

「ごめんなさい。」

 

「聞こえない。」

 

「わああーん。ルカ。ルカ。」

抱きついて泣き出したスミレ。怖いのか?ゼンが。まあ、そうだろうけど。

 

「こっちへ来なさい。」

 

「イヤ。ゼン怒ってるもん。」

これ以上は仕方ないかと、先に折れたのはゼン。

ルカの腕の中からスミレをもらう。

 

「じゃあ、お邪魔様。」そういって消えたルカをドアのところですまんと

視線を合わせ、さて、この我侭、うそつき娘をどうしたものかと見てやると

既に涙でぐしゃぐしゃだ。

 

 

「どうして自分で見に行ったの?ゼンが一緒に行くって言ったのに。」

「ゼンとも行くけど、その前にスミレ見たかったんだもん。」

 

「授業サボるのは駄目だ。わかった?」

「ハイ。」

 

「内緒にしておく事が出来るとどんどん嘘が増えるんだぞ。」

「ハイ。」

「明日一緒に丘に行く。これは前からの約束だったから。」

「うん。ありがとう。ゼン。」

首に手をまわしてくる。本当に憎めない。だから困る。

 

「その前に、でもお仕置きだぞ。」

「約束破った分と嘘ついた分。」

 

「だって。」

 

「だっては禁止。」

 

「丘に行く時お尻が痛かったら、スミレ可愛そうでしょ?」

どんな理由だ・・・。よくこんなに小さいのに次から次へと思いつくものだ。

「駄目。」

 

「さ、来なさい。」

髪を結びなおして、膝に乗せる。

 

パチーン パチーン パチーン

ちっちゃい白いお尻にお仕置き。

「ああん。ごめんなさい。」

パチーン パチーン パチーン

「だって、スミレの花、枯れちゃうかもしれなかったもん。」

「言い訳はいい。」

そういって厳しくお仕置き。

ていうか、なんでスミレはしょっちゅう授業をさぼるんだ?

 

「授業ちゃんと受けなさい。いいね。」

「は〜い。」

「約束したからな。」

 

「うええ〜ん」「痛い。」

パチン パチン

「はいだろ?スミレ。」

 

「はい。」

 

あんまり叩いても、どうせ、反省なんてそんなにしてないんだろうからな。全く。

 

「よし。明日は笑顔を見せてくれ。」

 

そういって解放してやった。

「もう泣いてないもん。」

 

ハイハイ。わかりました。

「お行儀よくな。スミレ。」

「スミレいっつもいい子だもん。」

 

ハイハイ。その自覚のなさというか、その自信、ある意味完敗。

 

「授業ちゃんと受けない子と約束守らない子はゼンは厳しくお仕置きだからね。忘れるんじゃないよ。」

 

そう釘を刺すものの、果たしてどれ程持続効果があるのやら。

 

何しろ屈託無くでた言葉が、「プリン持っていく?」だからな。

 

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