スミレは朝から機嫌が悪かった。

子供だから、そのうち機嫌が直るだろう。

仕方ないとばかりに放っておいた。

 

午後になってもまだナナメ。

今日はよほど何か気に入らないらしい。

 

「スミレ。大人しくしてるんだぞ。」

そういって子供達を遊ばせて、ルカと二人で仕事の話。

 

しばらくすると隣の部屋から

 

わーん!!!!

 

物凄い泣き声が聞こえてルカと様子を見に行くと、

「だって、カリンちゃんが悪いんじゃん。スミレのだもん。」

わーわー

わーわー

二人で大泣き。

 

なんだ?と思ってビービー泣いてる二人の話から推測すると、

事の次第は折り紙の奪い合い。引っ張り合っているうちにビリっとやってしまって、

仕舞いにはなんだか二人して大泣きしているという事らしい。

 

どうも、スミレが取り上げたみたいだったが・・・。

でもって髪の毛をひっぱったのがカリン・・・。

 

「スミレ、あやまりなさい。」

「カリン、あやまりなさい。」

 

ルカと二人でおなじ事を二人それぞれに。まさに同時だった。

 

「だって、スミレ悪くないもん。」

駄々っ子のお嬢さんは減らず口

「・・・」

カリンは黙ったまま。

 

ちらっと目配せすると、ルカもおなじ事を考えているらしい。

 

「スミレ。」

「嫌。」

「カリン。」

「だって。」

 

やれやれ、

「仲良くしてられるか?」

 

「やだ。スミレ、ゼンと遊びたい。」

 

「じゃ、おいで。」

そういって抱えると、パンツをさっさと下ろして、問答無用でお仕置き。

小脇に抱えてそのまま膝の上に乗せる。

「やー。やだやだやだ。」

「今日はだいぶ悪い子だったからな。」

 

「ヤダヤダ。」

「ごめんなさいが言えないのなら、終わらないぞ。」

「イヤイヤ。ゼン。ごめんなさい。」

 

すぐに終わりにするつもりは無い。

「カリンにちゃんと謝れるね?」

 

「わーん。」

 

「それと、もう少し、大人同士で話が終わるまで大人しくしててくれ。」

これは若干、お願い気味・・・。

 

パチン パチン

小さなお尻が赤くなっていく。

 

 

 

スミレが大泣きするそのすぐ隣で、

自分の音と違うタイミングでパチン パチンと聞こえる。

「カリン。」

「えーん。ごめんなさい。ルカもうしないから。ごめんなさい。」

パチン パチン

スミレが叩かれているのに、時々、ゼンじゃなくって、ルカの声が聞こえる。

「ごめんなさい。」

カリンの泣き声が聞こえる。

聞こえるけど、自分の事で精一杯で内容はよく分からない。

 

「ゼン。ごめんなさーいー。」

 

たっぷり二人で泣いた所で、スミレとカリン、二人同時に許されて、

「カリンちゃんごめんね。」

「スミレちゃんごめんね。」

べそかきながらお互いに謝る。お互いにお尻に手をやりながら。

 

怖い 顔した天使様、ゼンとルカが部屋に戻って行ってしまうと、

その後二人でその場でまたワンワンと泣いていた。

お互い同じ痛みを共感した事で、何故か親近感が芽生えて仲直り。

 

 

でもそのうち、『ゼンの首飾りは神さまからもらったんだよ。』とか、『ルカの髪の毛は白くってサラサラで天使の中では一番綺麗なんだよ。』とか、二人でどっちがたくさん自慢ができるか競争していた。

 

仕事の話が終わった二人はそれをドアの外で恥かしそうに聞いていた。

どこで止めるか。と思案していると、

 

「酒でも飲まないと、とても恥かしくってやってられない。」

ぼやいたルカ。

どちらかというと寡黙でシャイ。でも

「俺も」

とゼン。

今回はルカに賛同だ。さて、そろそろ、行くか。

いてもたってもいられなくなったのは、ゼンの方が先だった。

 

 

 

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