子供の天使は季節の変わり目、羽に栄養がちゃんといくように、薬草をセシルが調合する。

みんなで一緒に夜ご飯が終わると、対象の天使はセシルの薬草を水で溶いたものを飲まないといけない。週一回、2回だけだが、カリンは苦手みたいだ。

 

一口だけの我慢だが、苦みが嫌なんだろう。

「もう、飲みたくない」最初に出された日の翌日から毎日、毎日、俺に訴えかけてくる。

「あと一回だけだから我慢な。」

 

そういうものの、嫌だ。と事あるごとに訴えてくる。

これは、でも免除できないんだよな。

 

「カリン、飲めないもん。」

皆が去った食堂で、カリンの背中。困った顔のセシルが隣に座ってる。

どうにも埒があかないので、俺が呼び出された。

 

「どうも。」

キノコ以来だ。セシル。相変わらず綺麗だな。

 

そんな事考えながらチビ助の頭に手を乗せる。

 

「カリン、どうした?ゴクってやってご覧。」

「無理だもん。無理って言ったもん。」

 

「綺麗な羽のためだからな。病気にならないように、予防なんだって知ってるだろ?」

「病気なんないもん。」

 

「カリン。皆を困らせるんじゃない。いい加減にしないと怒るぞ。」

 

「イヤ。」

目の前にあった、小さなグラスを な・げ・た?

 

「あ。」

本人もびっくりしてるのか。思わず声が漏れてるけど。

 

「よし、わかった。」

 

「や、ルカ?」

自分のおかれてる状況が不味い事がようやく分かったか。

 

「セシルすまないが、もうひとつもらえるかな。」

 

「え、ええ。10分程もらえれば。」

 

「ここで待ってる。」

 

「さあ、カリンおいで。」

「お仕置きするの?」

 

「する。」

 

「叱られる理由もわかってるみたいだからね。さ、おいで。」

 

「怖かったんだもん薬。」

 

怖かった?言葉遣いが正しくないが、まあ、言いたい事はわかる。

 

ゆっくりスカートをまくったパンツを下ろして、そっと叩く。

パチン。 パチン

不味い物は飲みたくないのは分かるけどな。

 

パチン パチン

 

「お仕置き終わったら薬飲むんだぞ。」

絶対に薬は飲まないといけない事を分からせる。

「えーん。」

 

駄々捏ねても駄目だ。

 

「それとも、注射にするか?」

パチン パチン

そんな物無いけど

 

「やだー。ミドリ飲む。」

シクシク。

 

「よしよし。」

 

「さ、顔見せてご覧。」

「ちょっと鼻つまんで、頑張って飲んじゃおうな。」

 

 

「うん。」

 

ようやく観念したのか、セシルが用意した、今度は 蛙柄の蛙いろプラスチックのコップがだされた。量がわからないようにか、セシルって変わってるからな。なんでこんな入れ物に入れたかはよくわらないが。

 

「鼻つまんで、ぐびっといっていな。」

 

「うえ。」

なんとかノルマを達成したカリンは甘えモード全開だ。

 

「よしよし、よく飲めた。偉いぞ。」

「ちょっと、床は拭く間は離れてくれるかな?」

 

ぴっとり抱っこを主張して甘えてくるカリンをちょっと引き剥がして、モップがけする。

「ルカ、ごめんなさい。」

 

「そうだった。それを聞いてなかったな。」

ニッコリ笑って、もう一度カリンの頭をなでる。

 

「セシルにもちゃんと言ってくれよ。」

 

もぞもぞ、してるかリン。恥しがり屋だからな。

 

「カ〜リン。ルカがもう一度怒らなくてもいいようにちゃんとやってくれ。」

 

「セシル、ごめんね。」

「カリン、ごめんなさいだろ。」

 

「ふふふ。いいのよ。よく言えたわ。」

抱っこのまま、ちょっぴりはにかむカリンをセシルも微笑みかけてくれる。

 

「じゃあ、私はこれで。」

 

「カリン、もう寝る準備しなきゃな。」

「おいで。」

 

珍しく手をつないで廊下を歩いてやる。

 

昔、俺も飲まなかった事がある。飲まないと明らかに羽に違いが出るのでこっぴどく叱られ、さらに不味い薬飲まされた。

そんな、あの日のこと、ふと思い出したせいか、今日はあんまり厳しく出来なかった。

これはカリンには言えないな。

 

 

 

 

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