間違えないように、間違えないように。
そう思っているのに。
今日はどうかミスしませんように。
毎朝祈りながら家を出る。
「まだ入金されてないんですけど」
電話口から女の人の柔らかい口調でのその一言にさっと青ざめる。
「す、すみません。すぐに入金しに行きますので、大丈夫でしょうか?」
「入金されましたら、すぐにお知らせ下さい。」
午前中までに入金するようにといわれていた用事をすっかり忘れていた。
言わないとやばいよな。
とりあえず一刻も早く入金してこないとと、
慌てふためいてて2軒先の銀行までダッシュ。
幸いにもすぐに処理できたことが唯一の救いだけど、きっと叱られるよな。
先ほどの女性の担当は入金頂ければ大丈夫ですから。と電話を切ってくれたけど、これから、私はものすっごく憂鬱な報告をしなければならない。
「失礼します」
そういってドアを入るとデスクの向こうにキリっとした切れ長の目でパソコンを睨みつけるように読んでいる社長が目に飛び込んでくる。
その場で直立不動。
「ちょっと待ってくれる?すぐ終わる。」
そういって、あっという間にKEYボードを叩いてカタカタいう軽快な音が止むと顔をこちらにあげる。
「何?」
「午前中までに入金しておくようにといわれた今朝の件、遅れてしまって、先ほど入金してきました。」
「あ、先方には連絡をして問題がないとの事です。」
あ、今コメカミに青筋が立ったような気がする。
怒りを静めているのか、じっと考えて
「些細なミスが続いていて、今後は気をつけます。と言ったのはいつだったけ?」
「つい最近の事のように思えるんだけどね。」
「昨日です。」
「聞こえない。」
「昨日です。」
「どうして口頭での注意じゃ理解できないのかな?」
「あの。できるんですけど、今日はたまたま。」
「たまたま?」
「言われた事忘れないようにメモしたのに、忘れたって事?」
「メモ・・・はしませんでした・・・。」
あ、だからそんなに睨まなくったって。
「君は要領がまだつかめないのなら、書き出して、今日やる仕事の優先順位をつけてから仕事するようにと、昨日も言ったはずだが、聞いていたのかな?」
「いました。」
「でも忘れたと。」
「はい。」
まあ、そういえば、そうなんだけど。悪気はなかったんだけど。
「じゃあ、一週間は覚えていられるようにしないとな。」
そういって立ち上がったその顔には不適な笑みが。
ふえーん。まじでビビル。でも自分が悪いんだよな。
ギシっと皮のソファーに座ると、社長が膝を叩く。下から見上げるその目に睨まれ、
「はい」
と答えて膝の上に乗る。
パシーン パシーン パシーン パシーン
いきなり。
始めるとも。お説教も無く。いきなり。
気持ちの用意も無いままに始まって、呼吸をどうしていいのかすら分からない。
「スカード捲くるぞ。」
そういったかと思うと、スカートだけじゃなくって、当然のように
下着も下ろされた。
カッと顔が赤くなるのと同時にまた勢い良くお尻が叩かれる。
パシン パシン パシン パシン
考える暇も与えぬ速度でどんどん叩かれる。
痛い。けど、昨日の今日で、悪いのは自分で、我慢。こんな事では
絶対に泣かないって誓ったのに。
「痛〜い」といいながら、ベゾベゾと泣いていた。
どうしても涙が止まらない。
絶対に泣かないつもりだったのに。
「痛い。次はちゃんとします。机の見えるところに貼っておきます。」
パシン
「すみませんでした。」
止まった。
「そう。さっきから、ミスした事をとても後悔しているようだったけどね。それはお仕置きを恐れていただけだろう?いつになったら謝るんだろうと思ってたよ。」
「え?」
「あ。本当にすみませんでした。」
「よし。」
「ミスをしたなら、それをカバーすればいい。だが、お仕置きが怖いから悪かったと思うなんて違うだろ?自分の仕事には責任をもって取り組んで欲しいからね。」
「はい。」
「もちろん、お仕置きはこれからが本番だよ。」
そういってお仕置きは再開された。
オニー。ここでよしよしと許してくれるのかと思ったのに。
痛い。痛い。痛い。痛い。
だから、痛いってば。痛すぎる。
「足をバタバタさせるんじゃない」
そういって、とびっきり痛い一発を腿にもらって、
それからたぶん10発はお仕置きされたような気がする。
さっきの電話で一瞬にして青ざめて、精神的な動揺のまま膝の上に乗ったせいか、
本当にしょんぼり。
「以後気をつけます。」
首っていわないよね?
「以後が何度もないようにお願いしたいものだ。」
「行ってよろしい。」
ホッとして部屋を後にする。
トイレに直行して赤い目を何とかおさめないと。
でもすぐに仕事に戻らないとまた叱られる・・・。
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