―のどが痛い。―

 

自業自得だというのは分かっている。

昨日、物凄く眠くって(というのも前日の夜更かしのせいでこれまた自業自得)

でも、翌日授業の涼先生の宿題まだしてなくって、でもってさらにみたいテレビがあってとやっていたら、

ヒーター付けっぱなしで机の上で数時間突っ伏していた。『は。』と気がついて勉強を始めた・・・訳も無く、

慌ててテレビを寒いリビングに見に行き、部屋が暖まるまで鳥肌たてながらテレビにかじりついてみていた。

そのあと言われた宿題をしようとしたけど、もう睡魔との闘いをする気も無く、

授業中に内職するかとあきらめ半分の気持ちで床についてしまった。

 

 学校休もうかな。ふとアクマの囁き。

前は漢字テストが嫌でサボろうとしたけれど、今回は病気だもんね。

こればかりは仕方ないし。そうだそうだ。

と幾分自分の正当性を無理やり暗示にかけるように唱えて母親に学校に電話をしてもらう。

その後、先生にも今日無理だと言ってとお願いする。

「病院行ったほうがいいわね。」

そういわれて、病院は大嫌いだとはいえ、

涼先生からのお仕置きを考えたら遥かにましなので、しぶしぶ長い診察待ち時間、

長い会計待ち時間を我慢し、わざわざ薬局によって薬をもらい、午前中が終わってしまった。

せっかくゴロゴロ出来るというのに。でも、大手を振って学校やすめるし、

カテキョもサボれるんだから、これくらいの犠牲はしょうがないか。勝手に納得して、その後夕方までずーとパソコンとテレビ。

「寝てたほうが楽なんじゃないの?」

「うん。平気。」

テレビをみながら生返事をすると、

「そんなに元気なら、家庭教師だけはお願いしても大丈夫ね。」という不吉な言葉が聞こえた。

「え?具合わるいよー。」

「学校休んだだけで十分でしょ。それにどうみてももう元気みたいだし。」

「やだ。無理。」

「しょうがないわね。振り替えどうする日、後で電話してくるって言ってらっしゃったから、その電話は奈保子がでなさいよ。」

お母さん、ちょっとそれは・・・。無理だ。涼先生と喋ったら絶対にボロが出る。

なんでか分からないけど、黙っていれば言いというのに、つい、本当の事を言って過去何度、泣きを見てきたことか。

 

風邪薬のせいもあったと思うけど、

その後の時間、電話がかかってくるまでの時間は体のだるさと、

気がかりな事とでぼんやりしているうちに時間が過ぎていた。

「奈保子。先生よー」

そう叫ぶ母親の声はいつもどおりだと言うのに、なんとなく憎らしい。

自業自得。昨日から何度この言葉が出て来るんだろう?

わかっちゃいるのにできない。私ってそういう人間なんだから、

先生もあきらめてくれたらいいのに。お仕置きしない家庭教師の繊細だったら、

格好はいいし、本当は優しいし、飴(=褒めてくれるし)言う事無いのに。

びりっと胡椒が効くというけれど、あれは効きすぎ。

効果覿面(てきめん)なところも憎らしい。

 

 

「もしもし?」声が枯れてる。これなら大丈夫。

「具合どう?」

優しく聞いてくれる・

「すみません。急に。」

「明日は無理そうだったら、月曜日になっちゃうけど。」

「そ、そうですね。じゃあ、月曜日。」

わざとかって位に声の調子は病人風。咳もでちゃったりして。

バレナカッタよなー?本当は半ばサボリで元気だって言う事。

 

「お大事に。」

そういって電話が切れたらこっちのもの。

あとは遊んで一日過ごすだけだもんね。

ちょっと昼寝して、その日はゆっくり静養したおかげで、翌日にはすっかりよくなっていた。

 

 

 

<月曜日>

そうです。今日は振り替えの家庭教師の日。

そして、見事に宿題をやっていなかった私は授業中内職を決行。

しかし、内職できるような授業が1時間しかなかったために全部終わってない。うまくすれば見つからないかもしれないけれど、

見つかった場合は相当こってり絞られるのは明らかだ。

なにしろ、いつもより宿題やる時間はあったんだから。

 

「具合どう?」

「喉はいいんだけど、やっぱりまだちょっと。」

やってきた涼先生のお日様スマイル。かー。カッコイイ。

今までの不安は何処へ行く。すっかり心配されてなんだか優しく扱ってもらって超ご機嫌。

 

「ん?」

 

え?な、なんでしょう?授業始まってしばらくして、なんだか不吉な兆候が。

「これ宿題やってればわかるはずなんだけどな。」

ドッキーン

「あ、あれ?ちょっと忘れちゃった。かも。」

「このページで初めて見る問題ってどれ?」

取調官か?手持ちの札は見せずに聞いてくるその顔はさっきと同じ笑顔なんだけど、

今度はのんきに浮かれているシチュエーションでないのは明々白々。

 

「は、半分くらいかな。」

「ここも。ここも。ここも。宿題やってればわかるはずだ。」

「何がいいたいか分かるよね?賢い奈保子なら。」

「え?」

 

「しょうがない。宿題やったノート見せてご覧。」

 

それでも私は往生際がわるかった。これだけ伏線はられたのに、

自分から宿題やってないって言わなかったんだもん。

だいたいやってるからまだ許されるかもなんてかすかな期待があったというのも事実。

 

赤ペンでマルをつける。

ナナメの線が思いっきり数式の後に入る。う。。。。

やってない問題番号にわざわざ四角でマーキング。

 

「こんなものをまさか宿題やっているなんて言うんじゃないよな?」

笑顔が段々翳って来ています。涼先生。

「大体、いつやったんだ?」

「風邪引く前ですよ。」

「ということは風邪が回復してからの時間、やってないところは出来たはずだね?」

あ、そういうことか。でも今日やったなんていったらもっと酷いだろうし。

「でもって、次の家庭科の持ち物がここに書いてあるのはどうして?」

しまった。授業中、来週の調理実習に持ってくるものここにメモしちゃったんだ。ドジ。

「僕の目が節穴かと思われているようなら困るな。」

ま、まさか。思ってないです。というか、節穴だったらどんなにいいかと願った事は過去なんどもありますが。

「風邪は治ったそうだから、泣き叫んでも大丈夫。と。」

私は今、かなりひきつった。もしくは、悲しい顔をしているに違いない。これでポーカーフェースが出来るような人がいたらビックリだよ。治ったと言ったつもりはなかったのですが。なんて言えたらどんなにいいか。

 

「たるんでいるようだから、気をひきしめてもらわないとね。」

 

そういって椅子をちょっと引いた。

それって、やっぱり、

「さ、膝の上に来る時間だ。」

「でも。」

「でも?なにか言い訳がある?」

お仕置きは嫌だけど、もっともな言い訳があるわけでもなく。

「そういうわけじゃないけれど。」

「風邪を理由に授業をさぼり、宿題はしていない、怠けた態度を僕が許すわけが無いよね?」

えーっと優しい時以外に微笑むのはこちらが引きつるのでやめてほしい・・・。

「次からちゃんとやる。」

「そうあって欲しいね。」

「さ、おいで。」

って、次からちゃんとやるから今回は許して欲しいってことなんですけど。分かってるくせに無視か。

「言っとくけど、厳しいの分かってて家庭教師をして欲しいと言ってきたのは奈保子のほうだからね。」

見透かされたように膝の上で頭の後ろからの声。

「返事は?」

「はい。」

はいと言った後にスカートが捲くられる。でも抵抗できないよね。自分のせいだってこんなに言われた後じゃあ。

パンツのゴムに手がかかる。このときが何よりも恥かしい。

「じゃあ、お願いします。っていってみようか。」

「お仕置きお願いします。」

蚊の泣くような声

「よく言えました。」

バチン!

「いたっ」

「まだまだこんなもんじゃないから。」

パチン パチン

知ってはいるけど、そう改めて言われると辛い。

パチン パチン と叩かれるたびにどんどん自分の心が弱くなっていくよう。

「どうした?まさかもう泣いているわけ無いよな?」

そう聞かれたときにはすすり泣いていた。

分かっているのに聞くなんて、ヒックヒックという声聞けば分かるくせに。

「言う事があるだろう?」

「ご、ごめんなさい。宿題してなくて。怠けた態度はもう取らないから。」

「やっと言えるようじゃあ、もう少しお仕置きしておかないとまたすぐ忘れちゃうからな。」

そういってビシビシとお仕置きが続く。

態度については厳しい人。いつもは優しいし勉強教えてくれるのだって超わかりやすいのに

叱るときはとことん厳しい。

「ごめんなさい。もうしない。」

なんども繰り返す。痛くって、お仕置きが速く終わって欲しくって、ひたすらそれだけだった。

 

やっと解放されたときには、涙にぬれた顔で酷いものだった。

「よし。忘れるんじゃないぞ。僕はなめた態度を取ったときには厳しいって事。」

いつも厳しいくせに。これだけじゃないくせに。

「もう。お仕置きしないで。」痛いお尻をさすりながら涙の陳情。

「駄目。」

そいって勉強再開。

「されないような態度でいられる自信あるだろう?」

意地悪な発言とともに、お日様スマイル復活。

 

はっきりとした厳しさ。呼び起こしてはいけないオニの顔をどうして私は刺激してしまうのか。。。

 

 

「ちょっと席外す間、問題やってなさい。」

お手洗いかと思いきや、戻ってきた先生の手には病院で出された薬が。

「飲み薬が飲めない子供だそうだな。」

「だって、そのシロップ・・・」

まずいといおうと思ったのに、睨まれて言葉を飲み込む。

「薬飲まなくても治る程度の風邪だったのか?」

「ち、違うよ。重病人でした!」

「重病人なら薬飲まないとな。ほら。」

ほら。って今見ている前で飲めって事?

この差し出されたテーブルスプーンとシロップ薬のボトルはそういっているよね?

・・・

「あ、じゃあ、食後に。」

「食前って書いてある。」

一貫の終わりだ。悪夢だ。

じーっとみられている前でしぶしぶ注ぐ。チラリと涼先生みてみると、顎で飲めと促す。

はいはい。飲みますよ。飲めばいいんでしょ。

ゲロマズの薬を必死に飲み干す。

「水のんでくる。」

あわてて部屋をかけだす。

まじ、まずい。オエ。お母さんなんで涼先生にそんなこと言いつけるの?もう。お仕置きだけで沢山なのに。

 

 

 

 

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