やばいなー。まーくんこれ見たら激怒だよな。

家庭への連絡があるときはウチの学校って連絡帳を持たされる。

コメント付きで先生に返さなくちゃいけないから、ちゃんと見せたかどうかもわかる仕組み。パパもママも小言を言うくらいだけど、まーくんは違う。

 

沙耶がちっとも言う事を聞かないので、

まーくんは先月から家庭教師で週一回来ている。

 

松崎 涼=まーくん

 

勝手にまーくんと影でよんでいるけど、もちろん面と向かっては『先生』とちゃんと呼んでいる。

なにしろ、がっつりとお説教された後、お仕置きされる可能性がある。

 

ママはまーくんみたいなひと、よく見つかったとひどく気に入ってるけど、

生まれて始めてお尻を、しかも知らない赤の他人に叩かれた時にはショックで

ふてくされて次の日学校サボってしまった。

もっともこれが翌週ばれて、またお尻を叩かれる原因になったのだけど。ああ、思い出すだけでもブルッと来る。まじで容赦無くお尻が腫れるまで叩かれたんだった。

 

 

【最近授業中の態度があまり良く無いようです。ご家庭でもお話されて生活態度の変化を望みます】

 

はー。なんども見てもため息がでちゃう。見なきゃいいのか。嫌、そういう問題じゃないよね。ママになら、『いいから、連絡帳の所に書いておいて』くらいいえるのに、

今回の相手はまーくん。憂鬱。

 

現国の北川の授業中、由美からの手紙回ってきたところでついに先生ぶちぎれちゃって、「連絡帳を出しなさい」といわせちゃったんだよね。授業、始まった時から今日は教室がざわついてて、先生何度も静かにしなさいとイライラしながら声張り上げてて。全くもって運が悪かった。ちょっと重なっていたからな。ここんところ。

 

今までなら、メンドクサイな位だったけど、今度からは身に痛さをともなう。

 

案の定、母はぶつぶつ言ったくらい。

父に関しては、母からの話をうん。と言ったっきり。

でも松崎先生に自分で報告しなさい。といって手渡された連絡帳受け取ったときには、

「もうわかってるって。」

とつい母親に逆切れしてしまった。

やっぱ、見せないとだめか。やばいよなー。

 

 

 

 

2日後まーくんの日。来るなり、笑いかけるように

「沙耶、今日は元気ないな。どうかしたか?」

といわれたものの、つい「なんでもない」といってしまう。

先生来るまであんなにソワソワしてたのに、いざ本人目の前にすると言えないよ。きっかけが折角あったのに。

 

どうしようどうしようと考えている間に二時間が過ぎて終わりの時間になっていた。

 

「今日はどうもうわの空だったね。どうして?そんな態度いつも取られちゃ、かなわないからね。気を引き締めてもらうためにもお仕置きだな。」

「ええ?」

うそ。まだ報告する事があるのに。

「なんだ?その口の聞き方は。そんな態度なら、じっくりお仕置きするぞ。」

「あ。違うんです。待ってその前に言う事があるから。」

「目上の人には敬語を使う!」

「…」今日はどうもタイミングが悪い。

 

「先に話を聞こうか。」

爽やか笑顔で聞かれても、現実はちっとも明るい話題じゃなくって。むしろよけいにブルーな気持ちになる。

 

鞄から取り出した連絡帳を見せて、どうして連絡帳をもらう事になったかを簡単に話す。

 

「お仕置きされるとわかっているんだろ?それなら、会った最初に報告する事。」

「はい」

「どうも学校の先生がおっしゃる以上に生活態度が悪いね。」

「あ。決してそんなつもりは…。」

先生がコツコツと指で机を叩く。

気まずい。

「つもりの話をしているんじゃないんだよ。」

「いくつにするか言いなさい。」

え?これって自分で何発お仕置きされるか言えってこと?10発じゃ少ないっていわれるかな?でも超痛いし。20発はでもされそうだし。

「15発。」

「目を見て言いなさい。」

 

「ごめんなさい」叩かれる前から半べそ。首をすくめる。

 

どうしよう。まーくん怒ってないといいのに。怖いんだもん。

この人叱る時本当に怖くって、だから、わざと「まーくん」って影で呼んでる。そうでもしないと、怖さが先にたっちゃって、顔見れないよ。

すっごい綺麗なはっきりとした目をしてて、その長い睫毛なんて、街で会ったら思わずもう一度見ちゃうような顔なのに。

 

「顔を上げなさいといったんだよ。何発?」

沙耶は顔を上げたけど「ごめんなさい」としか言えなかった。

 

「じゃあ、まず、連絡帳をもらった分15発。自分からなかなか告白しなかった分10発。

勉強中うわのそらで集中していなかった分10発ってところだな。」

「はい」

…それって、35発も?

 

うそー。

だったら連絡帳の分10発にしとくんだった。

しまった。やっぱり。この人って。

 

「お仕置き始める前に確認しておこう。そもそも、先生から言われて生活態度を反省しようという気持ちにはなっているのかい?」

そういえば、そんなことはちっとも考えていなかった。

お尻痛くなるのだけ逃げたかっただけだもん。

 

そんな思いはばっちり顔にでて、

「あ。はい」と答えたものの、まーくんは

チラって横目で刺すような視線を送ってくる。

「反省していない子には反省する気持ちになってから、お仕置きしなくてはいけないようだ。」「これがどういう意味かわかるかい?」

「え?」

「膝の上に来なさい。35発ではすまされないという事だよ。」

「そんなー。」

 

「自分から反省できない子はどの程度わるかったかみっちりお尻に教えてあげよう。」

うっそ。ありえない・・・

「それと、『そんな〜』は余計だ。」

 

パーン。パーン。とお仕置きが始まった。最初はぐっと我慢していたが、

10発を過ぎると、

「痛い。」パーン

「痛い。や、まーくん」パーン

ピタっと手が止まる。

 

「今なんていった?」

 

「え?何も。」

 

「ふーん。ちっとも敬われてないってことか。」

 

「誤解。誤解です。先生。ね?」

それには答えず、

 

パーンとパーンと

 

さっきより気のせいか痛い。

 

ちぇ、地獄耳。

 

痛いって言ってる時は無視するくせに。

「反省しました。」パーン

 

「本当です」パーン

 

ともがいていた。

「反省しているのなら、もっと叩いてくださいと言える位だと思うけどね」

 

そんなこというわけないじゃん!心の中で毒づくと

 

「口先だけではいつまでたっても終わらないよ」

とパーンパーンと続く。

 

お尻がビリビリしてしまい、もうこれ以上一打でも打ったら、

気絶するかもというくらいになのに、さらに、何打も叩かれたれ、

ぐったりと膝の上で泣き叫びながら限界を感じていると、

「反省したか?」と助け船が。

「もう十分反省しました。ごめんなさい。」ほっとしながら訴える。

 

「本当に反省した?」

「本当に本当にごめんなさい。」

 

「では、お仕置き35発分お願いしなさい」

 

げー。まだ35発も????どうか冗談だと言って。悪い冗談だと。

でも、先生はこういうことを冗談で言ったりしないの本当は知っている。

どうやっても、逃げられないのも。

 

トホホ。これからまだそんなに叩かれるのか。

お尻はとうに限界超えてるっていうのに。

 

でも言わなきゃもっとその態度は何だって言われてお仕置きが増えるんだよねー。

究極の選択・・・。あーあー。

 

「生活態度が悪かった事、十分反省しています。」

と、いったものの、パーンと始まると一瞬中座していただけに、また再開されたということでことさら痛く感じられ、

「いったーい!」

と叫んでいた。

パーン。パーン。一向にお構いなしで非情にもお尻はどんどんと叩かれる。

「あーん。あーーん」
もう許してくれれば良いのに。いつになったら終わるのかもわからず、ひたすら痛さをこらえる。

「『痛い痛い』じゃなくて、痛さをもって反省しなさい」

 

まーくんが言う事は正しのかもしれないけれど、そんなこと出来るわけもなく、むしろ言ってることめちゃくちゃだよ。

 

内側から沸き起こる、もうやめてー。

という気持ちを声に出してしまわないように、懸命にこらえるので精一杯。

 

私はなんで逃げ出さずにこんな人の膝の上にいるんだろう。

その間もひっきりなしにお尻はパーン と勢い良く叩かれている。

 

「はい。最後。」と叩かれたのは。ちょうどお尻の真中。

終わったーー

ジンジンするお尻に手を当ててその場にしゃがみこんでしまう。

「コーナー」

やっぱり。

でももうとても立てない。そのままうずくまっていると

「同じ事を二度言わせる気かい?」

 

やばい。でもこのままもう少し。と思ったら、

無理に立たされて、お尻をバーンとひどく叩かれた。

 

「お仕置きされているのに、甘えた態度とは、

どういうことなんだい?お仕置きが足りないのなら、もっとみっちりするぞ」

 

ひえー。これ以上はもう無しでしょ。ここはヤバイ。

首を激しく横に振る。

本当はちゃんとごめんなさい。っていわなきゃいけないけど、

もう声が出る状態ではない。

 

「コーナーに立って、反省してなさい」

「はい」小声でやっと答える。

 

といってまーくんは部屋を出て行った。

きっとママと話してるんだ。

会話の内容は聞こえないけど声が聞こえてくる。

お尻がどうなっているのか、気になる。

きっと、真っ赤だ。

いったい何発叩かれたんだろう。

なんだか泣き疲れたけど、お尻の痛さで変に頭がはっきりしてる。

 

ガチャ。ドアが開いてまーくんが入ってきた。

「痛い?」

「超」

「ここに座りなさい。」

 

それから延々30分はたっぷりお説教されて、やっと開放された。

次また同じ内容で連絡帳を次もらったら、こんなもんじゃないよ。と脅されて。こんなのたいした事じゃないはずなのに。

それから、今後は「先生」とちゃんと言うことって約束させられた。

だって、怖いからさ、

ちょっと親しみ易いように呼びたいじゃん。

最大譲歩して、これからは、涼先生って呼ぶ事になりそう。

 

 

「最初が肝心だからちょっと厳しくしたけど、これに懲りてもらわないとね。」

 

そういい残して、翌週の宿題をどっちゃり出して帰って行った。

イケズだ。まじで。

顔だけはいいのに。性格は苛めキャラだよ。あれ。ちょっとじゃないよ。その厳しさ。

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