「全然言われた事守ってないな?」
その一言がキーだったというのは、後でリカの告白を聞いてから気がついた。

 リカがリハビリ通院している緒方医院の先生が超カッコイイのは前々からの噂だったけど、あの、面食いのリカが言うんだから相当なもののはず。という訳で、クラスでナッシーの異名を取る私が出陣したっていうのが事の始まり。

 通院理由は”肩こり。”まあ、パソコンやり始めてから、急に肩が凝るようになっちゃって、電話して聞いたら、整形外科だけど、見てくれるって言うし、リカの話だとマッサージうまいって言うし。
 
「こんなに肩凝って、偏頭痛とかない?」

「時々ちょっと痛いかも。」

いまいち自信がない。あまり気にした事無いから。

「保健きかないけどいいかな?」
「あ、はい。」
噂どおりのイケメンに会えるなら。そういって行ってみて、いざ始まったマッサージはこちらも噂どおりの激痛。

「イタイ!」

「痛いね。でも力入れてないんだよ。ちょっと我慢できるよね?」

できるよね?といわれて出来ないといえる訳がない。

「よしよし。良く我慢した。」

「もう一回痛いよ。」

って何回痛いんだ!っと心の中で叫ぶ事数え切れず。

「痛い。痛い。痛い。」

段々やけになって言うのに、全然意に返さず、

「よし、もうちょっと我慢。」

とガンガンにツボを刺激する。先生、顔は良いけど、心はオニだよ。優しそうな仮面つけて、心はオニだね。ううう。痛い。

「さ、良く頑張った。偉かった。」
「いい?こんなにしちゃ、駄目だよ?痛かったでしょ?」
「はい。ものすごく。超痛かった。」

幾分恨みを込めていってやる。なんだか疲労感一杯なんですけど・・。
「自分でも肩まわしたり体操しないとね。できるよね?」

 先生の質問の形式は『出来るよね?』だという事に気がついた。ずるい。これじゃあ「はい」以外に答えられないじゃないか、こんな聞き方。

「じゃあ、着替える前に看護婦さんに紙もらって体操の説明うけて、はい。今日はおしまい。お大事に。」

「ありがとうございました。」

「来週もう一回来れるようならいらっしゃい。今日ので体調が悪くなったりしてないか確認しておきたいから。」

「はい。」
「ありがとうございました。」

と幾分よろよろしながら退出。
こんなのやるわけないよなー。と思いながら一通り体操の説明は流し聞いて、お会計。


翌日リカに「ねえねえ?どうだった?」と聞かれてからは噂話に花が咲く。
次回、行く気なんて無かったのに、リカが『いいないいな、先生に会えていいな。』と連発するので、ついその気になって今日来てしまったわけ。

で、この気まずい空気。
「自分の体でしょ?」
「はい。」
かなり真面目なお説教モード。

「パソコンやる時間も短くするんじゃなかったっけ?」

「まあ、その。」

「せめて運動してれば良かったのに、こんなんじゃあ、体が辛いでしょ。」

「はい。」

「全然言われた事守ってないな?」

「今日は痛いよ。」

と痛いよといわれたのは先週受けたマッサージの事だと思っていたのに、
何故か手を取られて。え?え?と思っている間に先生の膝の上。
「え?」
「これから罰を与える。ルイトモってやつか?本当に。」

そういいながら、ズボンのゴムに手がかかる。
「やー。」
そういって、必死に後ろ手で守ろうとしたのに、パシっとはたかれて、ビックリしたスキにパンツごと下ろされる。
パシーン
最初の一発をおみまいされたのはこちらが何が起こるのか身構える前だった。

「ちゃんと自分の体を大切にするっていうまで許さない。」

パーン パーンと始まるけど、自分の身に起こっていることが信じられない。
「だって。」
「だってじゃない。やりなさいと言ってあったでしょ。」

パーンパーン パーン パーン

痛い。痛い。と痛みに思考能力を邪魔されながらもハタとナッシーは気がついた。もしかして地雷ふみまくり?

「ごめなさい。ちゃんとやります。」

ピタっと手が止まる。

やっぱり。これだったか。
「反省した?」
「しました。しました。」

首をブンブンと縦に振る。
「よーし。じゃあ、君のお友達と同じく、10発叩いておしまいね。」
そういってきっちり10発お見舞いされて、その後、激痛のマッサージを受けてようやく解放。お尻の痛みに耐えながらだから、2箇所での痛み。

リカの奴。よくも肝心な事を言わなかったな。
おーいたい。このまま、ベットに倒れこみたい。ナッシーともあろうものが、周りからの情報不足のまま、イケメン会いたさにつられて失態を・・・。

しかし、あんなにお仕置きしておいて、まだマッサージまでするって、先生、マジ鬼です。


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