「ただいま。」

うわ。まずい。

「あ、修ちゃんお帰り〜。」

 

勤めていつものように何気ない声で返事しつつ、

急いでとりあえずクローゼットに投げ込むように入れて仕舞う。

 

「尚美?何隠したの?」

「なんでもない。」

「なんでもないのなら見せられるだろ?」

「見せて。」

「たいしたもんじゃないから。」

「それなら隠す事無いだろう。」

「駄目なの。」

「尚美。見せなさい!」

うわ。低い声。もう。目だけはいいんだから。

修ちゃんの前に立ちはだかり、身を挺してその進路を妨害するものの、もはや

一貫の終わりという結末は見えているも同然。

 

 

「だって。」

 

「何度も言わせるのなら、先に膝の上に乗るかい?」

「いや!」

でもどうせ膝の上に乗る事になるのは分かている・・・。

 

強引に引き戸を開かれてしまうと、あわてて突っ込んだチョコレートのおまけのディズニーキャラが流れ落ちてきた。

「もう集めないってこの間約束したものじゃないのか?」

「う。うん。」

「どう見ても数が増えてるよね?」

「あ、それは気のせい。最初からこれだけあったし。」

「尚美、じゃあなんで隠したのか言ってごらん。」

・・・・

「もうこれで最後にするって約束したんじゃなかったっけ?」

「その上隠そうとして、言い訳して。まったく。」

「ごめんなさい。」

「修ちゃん?」不安に思いながら様子を伺う。

「子供には子供の躾の仕方が必要だね。」

 

「もうしない。約束するから。」

すがるように見上げても効果の無い事は分かっている。

「尚美、いい加減にしなさい。」

「膝の上に来なさい。」「今すぐだ。」

やっぱり・・・。

「修ちゃん、怒らないで。ごめんなさい。」

「隠そうとした分 10発。言い訳した分 10発。 嘘をついた分 10発。

それから、態度が非常に悪かった分 10発。」

「そんなに?」

「口答えした分 10発。」

う。もう何もいえない・・・。そして、しぶしぶ膝の上。

パーン パーン パーン

「いあー。」

「いたいー。」

パーン パーン

「大人しくしてないと、一通り終わった後にもう一度、お行儀が悪い分のお仕置きをもらう事になるぞ。」

そういって ”キャラ集め”のお仕置きが始まった。

「いたーい。」

「そんな態度なら、今ある物も全部捨てるか?」

「いやあ。今あるのはいるんだもん。」

パーン パーン

パーン パーン

パーン パーン

「痛いよう。」

「どうして痛いんだ?考えればそんなこといわないはずだぞ。」

うそ。修ちゃんは叩くほうだからそんな事いえるけど。叩かれるほうになってみてよ。

痛いって言ったら怒られるし、我慢。我慢。と思うけど、ピシピシと叩かれると、それはきつい。

身をよじって逃れたくって、足をばたつかせてしまう。

「大人しくしてなさい。2度目だよ。回数を増やすか?」

「いや。いやだ。いや。いや。増やさないで。ごめんなさい。」

パーン パーン

パーン パーン

「これでも我慢してるのー。」

「我慢が聞いてあきれる。」

パーン パーン

 

うわーん。だって、本当に欲しいキャラが出ないんだもん。

でついつい集まっちゃったんだもん。

『散らかしたままにして。』って怒られて、無駄遣いだし、もうしないって約束したのが先週末。

こんなに早くにみつかってしまうとは。

「ごめんなさーい。」

痛くって、謝って。でもまだ許されなくって。涙がでる。

「ごめんなさい。修ちゃん。ごめんなさい。」

パーン パーン

パーン パーン

本当に50発叩くつもりなんだ。ちゃんと数えているのかしら?

だったら今いくつだろう。痛い!痛すぎるよう。

「もうしません。本当です。買わないから。本当にやめるから。」

叩かれるたびに何か言わずにはいられない。

「信じてあげたいけれどね、な・ん・ど・も 裏切られているからね。途中では止めないよ。」

う。・・・見透かされてる・・・。

「もう後10発だ。我慢しなさい。」

パーン パーン

そういって、きっちり叩いてようやくお尻へのお仕置きが終わった。

 

「さて、ご飯にするか。」

そういって、修ちゃんはしわになったズボンをアイロンかけておくようにって命令して、

さっさと着替えて台所に行った。すごすごとついていく私。

今日は私が悪かったんだしな。これくらい、しょうがない。

ひりひりするお尻をかばいながら席につく。

 

今あるのも全部捨てなさいといわれなくってちょっと良かったけど、

欲しいキャラが出てないんだよねー。お仕置きはでもこりごり。仕方ないからあきらめるか。

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