「さてと、どうするか」

 

修ちゃんと暮らし始めて2ヶ月。尚美は、おままごとのような気分で最初の数日は張り切って家のことをしてみたりしたのだが、あまりに最初に気負いすぎて、今はすっかり家のことをするのが嫌になってしまっていた。もともと尚美の性格からして長続きなんてするわけがなかったのだが。

 

 修ちゃんは全て家の事をしなくてもいい。お互いに働いているし、二人でやろうという人。しかし、部屋を散らかしっぱなしなのはいつも尚美のほうで、いいかげんにけじめをつける必要があると考えていた矢先、帰るなり、雑誌が机が散乱。お風呂上りのタオルが椅子にだらりとかけてあるのを見たら、今日という今日はという気になった。幸い金曜日の夜だし、今晩はたっぷりと話し合ったほうがいいな。というのが玄関開けて、30秒後の結論だった。

 

「尚美」

「なあに?修ちゃん?」と奥の寝室から声がする。「化粧水塗ってるの。ちょっと待って。」

 

僕がどれだけ怒っているかも知らずに。まあこれから起る事も知らない今のうちだけだ。

 

「ごめんねー」

といって、リビングに入ってくる。

 

「その、タオルのかかっている椅子に座る気になるかい?」

いくぶん声が厳しいのがわかったらしく、

「あ。ごめん」とだけ言う。

 

しーーーーーん としているのに耐えられなくなり、

「修ちゃん、ごめんってば。」という

 

「今日はきちんとしようという気になるように、教えようと思うんだ」

「これからは、お互いに相手の気持ちを考えて生活をしようといったのは尚美だったの忘れたわけではないよね?」

「もちろん覚えてるよ。いまでも修ちゃんのこと大好きと思ってるもん」

「じゃあ、その大好きな人が散らかっているのが嫌いなのも知っているね?それなのに、

このあり様なのはなんで?」

 

やばい・・・。

「すぐに片付けようと思っていたんだけど、修ちゃんが早く帰ってきちゃって。」

「大好きな人がいいわけが嫌いなのも知っているね?」

うっ。

 

「…」

「いつも いつも散らかし放題だね。」

えええっと、何か、言わなきゃ。

「僕がいままで言葉で言ってもちっとも直らなかった君の生活態度について、今日はちゃんと教育するよ」

 

 なに?教育って、聞きたくないその先の言葉…

 

「寝室に行こう。あそこが一番防音されているからね。」

修ちゃん、怒ってるみたい。いや、完全に怒っているのはとうの前から本当は気がついていたんだけど。

ベッドに腰掛けると、

「おいで、これから君のお尻を叩く」

「今度からちゃんとするから。」

こんなのって、ないよ。でも修ちゃんの目が真剣だし、やっぱり・・・。

だよね。尚美が悪いんだもん。
「だって、そんなの、できないよ」

「僕は決心しているんだよ。二人で生活していく上で、必要な事だと思うからね」

「言葉でいってくれればわかるもん」

「尚美。今まで言葉で注意しなかったかい?」

「今日までに何度と僕は君に注意したよね?」

そう。そうでした。でもこれを認めると 即 お仕置きされるってこと?

「尚美、下向いてないで僕の目を見なさい」

修ちゃんは目をのぞき込んで

「わかったね?」とたたみかける。

「…」返事なんてできないよ。声出したら泣いちゃいそうだもん。

 

修ちゃんがベッドから立つ音がした。と思ったら、膝の上にむりやり乗せられていた。

「パンツを下ろして痛い、痛いお仕置きをしよう」

なんて今日はこんなにも素直になれないのだろう?今までの経験から、これはやっぱり、お仕置きだって自分でもわかているのに、『デモヤメテホシイ』と言葉にならない声が自分の心の中で必死に主張している。

パチーン と音がして、尚美は小さく 「あ」 と声をもらした。

「いつまで、お仕置きしなくてはいけないないんだろうね。」

といいながら、修ちゃんはどんどんお尻を赤くしていく。なんだか全然私の事、可愛そがっているような感じの声じゃないんですけど・・・。

「し、修ちゃん。もういや。いや。痛いからやめて」

こらえきれなくなり、お願いする。

「悪かったと思っているなら、お詫びする!」

パーン パーンと手は一向に止まらない。

「ごめんなさい。」

「もうしないと約束するか?」

「する。」「するする」

叩かれながらだから、必死にお願いする。

「じゃあ、今後こういうことがあったらもっと厳しいお仕置きだよ。」

「はい」

もうなんでもいい。とにかくお仕置きさえ終わってくれれば。

「反省したんだね?」

「しました。」

もういいじゃない。ゆるしてよーーー。

「そう。」とやっと叩く手がとまって、尚美もほっとする。

 

「僕のかわいい。大事な奥さんが、ますます大事な人と思えるように、じゃああと10発叩いて終わりにしよう。」

 

う。修ちゃん、よくお分かりで・・・。

 

「尚美、僕は本当に君の事大事に思っているよ。」

ちゃんと話をしよう。と、もうこのまま横になっていたいのに、尚美はリビングの椅子に

座らされて、お説教が始まっていた。

「はい」

「今日のことはちゃんと反省したね?」

「うん。した。した。」

「今度やったらどうなるんだい?」

「え?」

 

「質問にちゃんと答えなさい。」

「怒られる。」

「怒られる。か。怠けてできないのなら、ちゃんと僕が叱るよ。わかるね?」

「うん」

もうお尻痛いから開放されないかなー。

じゃあ、今からここのリビングをきちんと片付けなさい。

「え?今から?」

「何か不服でも?君が散らかしたんだろう?」

まずい。

「はい。とすぐ返事をしないところをみると、まだまだお仕置きがたりなかったか。」

「あ。ねえ、修ちゃん。もうすごく痛かったら。反省してる。ごめん。つい言葉が口かららでちゃったの。すぐやる。今からやるから。」

「よし、いいだろう。片付け終わったら、お仕置きしよう。」

「ちょっと風呂に入ってくる。」

といって洗面所にいってしまった。取り付くしまもなくさっさと洗面所に行ってしまった後姿をぼーぜんとして目で追う。うそー。目の前には散らかった雑誌と飲みかけの冷め切ったコーヒーのカップ。

わたしって、かわいそう。普通これ以上しないよね?修ちゃんどうしてこんなに厳しい事ができるの?

 

 しぶしぶ片付け始める。洗面所からはシャワーをひねる音がしてきた。こんなお尻じゃあ、当分楽しい夜はないよ。トホホ。片付け始めた手を止めて、洗面所は使用中だったから、薄暗い玄関の鏡でお尻の赤さをチェックしてみる。想像どおりの痛々しいお尻だった。

 こんなに真っ赤になっているお尻にまだ修ちゃんはこれからお仕置をする気でいるだなんて。信じられない。

 

 結婚しても、お仕置きされてしまうんだやっぱり。

 

 

 

 

 

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