「川手にお兄ちゃんが呼んでるって言われたんだけど。」

「で、なあに?」

 

努めて明るい声をだそうとする。何気ないフリ。でも心臓が口からでそう。

ていうか、ここに、こうして立ってるのもかなりしんどい。

 

3つ数える間に、今日午前中何してたか正直に言ってみろ。」

 

「いち。」

低い声。

 

「にーい。」

ゆっくりと。

 

「さん。」

最後はあっさりと。

 

 

「わーーーー。待って待って。」

 

「庄治とちょっと散歩かな。」

 

「正直にと言っただろ。」

 

 

凄み。ありすぎです。お兄ちゃん。

それに、普通、カウントとるなら、10くらい待たない?あまりの短さにその気性が知れるって。

 

「ごめん。」

 

「いち。」

 

え?と思って、俯いた顔を上げると、にやっと口の端で笑ったその顔に凍りつく。

 

「庄治のバイクに乗せてもらって、散歩・・・。かな。」

 

「かな?どうして疑問文なんだ?自分でしたことだろ。」

 

そんな、現国のセンコーじゃあるまいし。

 

「その、俺のことを“うるさそ〜な”顔で見るのもやめたほうがいいな。」

 

「はい。」

 

お兄ちゃん、顔は笑ってるけど、目が笑ってないから怖い。

 

「では・・。」

ビクッ

 

「分かってるよな?」

 

「・・・」

 

「口が利けないわけじゃないだろう。」

 

「それとも何か?俺をコケにして済むとでも思ったか?」

 

ブンブンと首よ横に振る。

 

「顔を上げてちゃんと返事しろ。」

 

「・・・。」

 

「甘えてんじゃねーぞ。」

 

「ごめんなさい。」

 

「覚悟はいいな。」

 

そういってお兄ちゃんが立ち上がる。

私を膝の上に乗せるために、手をゆっくりとそっと引っ張る。決して力は入れない。

拒絶できるはずもなく、私はよろよろとその先にある、お兄ちゃんのちょっと足を広げて座ったその膝の上に乗る。

 

 

「あ・・。の。庄治は?」

 

「人の心配か?まあいいだろう。」

スカートと下着を下ろしたままの状態で手は振り下ろされない。

 

「あいつにはちゃんとケジメ付けさせる。」

 

「だって、梨緒が頼んだから。」

 

「そう。お前が頼んだからあいつは痛い目にあう。でもそれをヤツも承知だっただろうよ。」

 

「でも、私がいけないのに。」

 

「言ってあるだろ、お前が俺の怒りを買うような事を一緒にするやつはそいつも痛い目に合うんだってな。」

 

「私だけ罰すればいいのに。」

 

それには兄は答えなかった。

 

「とにかく、二輪は禁止してあったはずだ。たとえ後ろであってもな。」

 

「それと、自分の行動とその口の利き方、良く反省するんだな。」

ヒヤッとする程のその低い声はもう、口答えしようがなかった。ああ、始まるんだ。そう。ローストされる子豚のような気持ち。子豚は痛くないけど、私は・・・。

 

バチン!

 

体が反応する。でも堪える。すぐに回数がどんどん増やされ、呼吸するタイミングと合わない。合わないのに、次から次へと振り下ろされう。どれも半端なく、痛い。

 

「い。痛い。」

 

「みっともない声だすんじゃない。」

 

そんな横暴な返事。

イヤダ イヤダ イヤダ・・・でも

何を言っても、お兄ちゃんが終わりというまで、私の泣き言は通じない。

でも、でも、痛い。本気で。こんなに痛いなんて。この間の時と、どっちが・・・。

そんな恐ろしい事考えて見るものの、答えなんてでようもない。

 

「ゴメン。本当に。」

 

「痛い。だから・・・いたっ!・・・」

 

おなじ所を狙いを外すことなく力いっぱい叩けるのって、本当にお兄ちゃん私の事目の中に入れても痛くないの?このオニ!バカ!過保護すぎるんだもん。

 

反抗心は次第に薄れ、ひたすら終わるのを祈るばかり。

 

「ね、ねえ。反省したカラ。」

 

「あーん。痛い。」

 

叩かれるたびにその痛みを思い出す。痛かったところにさらに追い討ちかけるなんて。

 

「反省したか?」

 

「とっくに反省してるよ。」

「部屋呼び出されたときから。」

 

「それは後悔だろ。」

 

うっ・・・。

 

「とにかく、猛烈に反省してる。」

「もうしない。二輪はいいといわれるまで決して乗らないから。」

 

「誓うな。」

「誓う。神様にも般若面にも誓う。」

 

「なんで般若面がでてくるだ?」

気が抜けたのかお兄ちゃんは終わりにしてくれた。

私の墓穴が危うく、酷いことを招きかけたけど、気がつかなかったみたい。

口は災いのもの。危ない。危ない。

 

しっかし、痛い。

燃えるようなこの痛み。それより、なにより、自白させられたあの空気。ああ、二度とやらない。まじでビビッタ。怖かった。

 

 

「お嬢様、若がタオルを持っていくようにと。」

 

ベットで半べその私にそっと川手がタオルを乗せてくれる。

怖いけど、私思い。それも分かってるんだけどね。

 

 

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