「お嬢さん、貰ってきましたけど。」

「サンキュー。」

 

 

「あ、あの、お嬢さん、若に相談してから通われるんですよね?」

「うるさいなー。」

「お嬢さん、相談するって約束してください。」

「わかった。わかった。するから。川手は心配性なのよ。」

 

「何を相談するって?俺ならここにいるぞ。」

 

「「あ」」

川手と二人同時に吐いた言葉は「あ」の一言だけだった。

 

マジで固まった。どうしているのさ!

 

「梨緒?」

最初はやわらかく

「・・・・」

「川手から聞いたほうがいいのか?」

ちょっとドスがかった感じのトーンになり・・・

「まって、お兄ちゃん。隠し事って訳じゃないし。」

「それなら素直にすぐ言えるだろう。」

ついには、ヤバイオーラー全開に醸し出てくる。

また別の機会にして。・・・くれるわけないか。

 

川手は固まったまま微動だにしてないし。

 

18になるまで駄目っていわれてたし、だから改めてお願いしてもどうせ同じ答えだろうし。そう思って隠れて通っちゃおうと思った。

「黙ってちゃ、分からない。」

まだ般若面をつけるほどではない事を祈りつつ、でも確実にさっきより怒ってる感じ。

 

「はい。」

でも、言い出せない。

「武蔵自動車学校」

そういって手元に抱えていた、川手がもらってきた案内書が取り上げられる。

「これは何の資料なのかな?」

「『隠してたわけじゃない』 だったな?」

 

こんなにはっきりとした物証がお兄ちゃんの手の中にあっては言い逃れはまず無理。

 

バイクの免許が欲しくって。

 

一拍おいて、

「じっくり話したほうがいいから、ちょっと奥に来なさい。」

 

そのまま、ずんずんお兄ちゃんは自室へ向かっていく。

後ろ姿。その広い肩幅がいつもより大きく見える。

 

ついていかなかったらえらい事になるだろうなー。でもついていきたく無いよ。

川手の方をちらりと見る。

「お嬢様、早く行ったほうが。」

ああ、なんて分かりきった答え。

「わかってるわよ。」

そういって仕方なくお兄ちゃんの後姿を追う。

 

「そこに座りなさい。」

 

「はい。」

緊張のあまり、モゾモゾとしてしまう。

 

「なんで川手に資料取りに行かせた?」

 

「だから。」

「だ・か・ら?」

やだオウム返しに低い声でゆっくりと繰り返したりしないでよ。

続きの言葉なんて用意してない。

「原付は取らせない。」

改めていわれちゃったか。これじゃあ交渉なんてあったもんじゃないか。

 

「内緒で通おうとしてたわけだ?あ?」

 

「う。うん。」

この展開で嘘ついても仕方ない。

 

「見つからないように通って、バイクはどうするつもりだったんだ?」

「誰かの借りようと思って。」

「お前に禁止しているものを貸したら、そいつも痛い目位じゃ済まないだろうな。」

 

「う。うん。」

「それでも自分の都合だけで、行動しようとしていたわけだ。」

返す言葉もありません。

 

「ごめん。」

「もうしないから。」

「我慢する事が出来ないなんて、お前はいくつだ?」

「ごめんってば。」

 

じっと眼鏡越しに睨まれて、体が固まる。

「ごめんなさい。お兄ちゃん。ごめん。」

「全然分かってない。」

 

「分かってる。分かってるけど。」

 

「その、『ケド』が分かってない何よりの証拠だ。」

 

「禁止されてる事を許可無くやろうなんていい度胸している割にはこの程度か?」

「覚悟の上での行動なんじゃないのか?」

 

「返事は?」

もう泣きそうなんだもん。今言葉吐いたら、涙も溢れてくるのきっと止められないもん。

 

「俺は今、ものすごく(・・・・・)怒ってる。」

 

それだけいつものよく響く低い声で言うと、私を膝の上に導いた。

スカートを捲くられ、パンツを下ろされる。

怖くって、目を瞑る。

いやっ。厳しくなんてしないでお兄ちゃん。

 

ちょっとのことなのに、いつ始まるのか、

その待っている時間が気が遠くなるほど長く感じられる。

 

「怖いか?」

「こ、怖いよ。」

いじわる

「悪さする前に次回はそれを思い出すんだな。」

 

そういって、パシーンと叩かれる。

「いやー」

想像したいたのより、断然痛い。

 

「痛いように叩いてんだ。自分の蒔いた種だ我慢しろ。」

そうだけど。

 

パシーン もう一度、右のお尻。

痛かった所にもう一度だなんて。でもこれからいくつも叩かれるんだ。

そう思ったら本当に怖くなってきた。

 

「ごめんなさい。本当にごめんなさい。」

「お仕置き始まる前にちゃんとそういえると良かったんだがな。」

そういって次は左、また、右。左。右。とテンポ良くどんどん叩かれる。

一向に手は緩まる事はない。むしろ始より確実に痛くなってきている。

 

あまりに痛くって、何がなんだか分からない。

 

痛い。痛くって、痛くって、やめて欲しい。

自分がいけないの分かってるけど、どうにかこの痛みから逃げ出したい。

 

半端じゃ無いお兄ちゃんからのお仕置き。

がっちり押さえ込まれて、どんなに暴れても

絶対に逃げ出せない。暴れたりしたら後でさらに追加になってしまうから、

我慢しようとするけど、痛さの余り体が反応してしまう。

一度覚えた痛みを続けざまに体感するのは酷く辛い事。

 

「ごめんなさい。もうしません。」

「これくらいで終われると思うなよ。」

 

そういって、さっきよりさらに痛くなる。

「いやっ 痛い!」

 

 

どんなに泣こうが、関係ないんだ。お兄ちゃんには。

お兄ちゃんがいいと思うまでは許してもらえない。

 

もうここらで、私のお尻は本当に限界だと思うのに、

お尻はビリビリしているのに。

 

今鏡みたら絶対に真っ赤になってるはず。そんな可愛そうな私のお尻に、

さらに容赦なくお仕置きが追加される。

 

 

「もう堪忍して下さい。」

 

蚊の泣くような声でお願いする。

「甘い。」

 

一言で却下される。鬼。

あきらめた。と思いたい所だが、お尻への痛みが強すぎて、もう本当に耐えられない。

 

「も・・う・・・。本当・・に。」

 

堪らず手でお尻をかばおうとした所、パシっとはたかれ、元の位置に戻させられる。

 

「手を床から放していいと誰が言った?」

 

「終わりは俺が決める。」

そういって

パーン パーン と続く。

ひえー。お兄ちゃん。今日は般若面のような形相で怒ってる?

免許とっちゃえなんて気軽に考えていたけど、かなりヤバイ事だったみたい。

いまさら遅いけど。

 

「あああああーん。も・・・う。」

 

「本当に」

 

「ひっく。」

 

「影で」

 

「隠れて」

 

ひっく ひっく。

 

「コソコソしないから。」

 

手が止まった。

終わり?終わり?ねえ?

 

「反省したな?」

 

「しました。」

したした。十分にしたよ。

 

「もうしません。」

ここは精一杯謝らねば。

 

「もうしません。」

もう一声。

 

「よし。」

 

終わり?

 

「俺が怒ったら怖いのが分かったな?」

「はい。」

ていうか最初からわかってるつもりだけど。いつもお仕置きは怖いよ。

 

早くこの姿勢から解放して。

 

「覚悟も無くふらふらと手を出したりするんじゃないぞ。」

「わかった。」

「本当にわかってるんだな?」

「うん。」

「ハイだ。」

即座に訂正が入る。

「はい。」

 

「じゃあ、あといくつにする?」

起き上がろうとした頭をぐっと押さえられ、聞きたくも無いお言葉。

 

「まだあるの?」

パシッ う。また一つ追加。

「当然だ。」

だって、お尻はモウヤダって言ってるのに。

 

「じゅう。」

「いくつだって?」

「じゅうご」

「聞こえない。」

「にじゅう。」

「よし。20な。それと『まだあるの』の失言につき、10発追加」

 

危うく「えー」と言いそうになるのをぐっと堪える。指先に力を入れて。

どうしてこんなに今日は厳しいのー?

 

「自分でした事良く考えろ。」

 

そういってきっちり宣言どおり30発さらに追加されえ、

膝から下ろされてもあまりの痛さに精神的に疲れて、その場でうずくまる。

「いつまでそうしてるんだ?」

「さっさと立って、自分の部屋で反省してろ。」

オニ。

「目は口ほどにものを言う。」

「まだお仕置きが足りないのなら、口でそういえ。」

 

顎を持ち上げられ、お兄ちゃんの眼鏡がぐっと迫ってくる。

ふるふると首を横に動かす。これ以上なんて絶対に嫌。

「もう十分、お仕置きもらって反省してます。」

視線を逸らし、よろよろと下着をあげ、

とぼとぼと廊下を歩き、自分の部屋にたどり着いてベットに倒れこむ。

 

しかし、今日の兄はマジで怖かった。

 

終わって欲しくって、心の中で早く終わりと言ってくれないかとずーと膝の上で繰り返していたさっきの恐怖がお尻のジンジンする痛みとともに思い出される。

 

冷たいタオルが洗面器と共に置いてのは、川手かな?

お尻を冷やしたいけど、そんな気力も無い位。

 

あっという間に涙で枕が塗れる。

 

 

早く18になりたい。

 

泣きながら誓った。免許絶対に取ってやるって。

 

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