「入るぞ」

 

そのドスの効いた有無を言わない声。モチロン聞き覚えあり。

間違えようも無い。

 

瞬時にこの数日間の事が走馬灯のように蘇る。まさか。バレタ?

 

「そこに座れ。」

 

といわれて正座。机に向かっていたのに、わざわざ床に座らせて。ふえ。怖い。

 

「この間の旅行の写真を見せてみろ。」

 

今眼鏡キラッて光った気がする。

 

「ど、どの旅行のかな?」

 

「先週の桜見物のだ。どうしても日がずらせないからとお前が昼の会食を欠席した日のだ。」

 

「あ、あれね〜」

急いで何か答えなきゃと必死で頭を回転させる。

 

「それだ。」

 

「私カメラ持っていかなくって。」

「携帯があるだろ。」

「あ、その日忘れちゃって。」

 

かなり見え見え・・・。苦しい。この状況。完全に負けてる。

 

「じゃあ、誰と行った?友達の誰か撮ってるだろ。女四人の旅だったな。」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「何が?」

 

「何がと聞いてる!」

ビクッ

 

ひー。カミナリが。カミナリが落ちた。

 

「顔を上げろ。」

 

「聞こえているんだろ。さっさと上げろ。」

 

怖い。怖くって流石にもぞもぞしちゃう。

 

「花見で、クラスが分かれる友人との旅行でという事だったから、欠席を認めたんだぞ。」

 

「はい。」

 

「その日何してたか言ってもらおうか?」

 

もう知ってるくせに。きっと最初から証拠はあがてたんだ。それなのに、わざわざ追い詰めるように聞くなんて本当に鬼。

 

「許してください。」

 

「何を。」

 

だから。その般若面取ってくれたら、私だって、話やすいのに。

 

「何をかさっさといわねえと、そろそろ俺の我慢も限界なんでな。」

 

もぞ。

「顔を上げろ。二度目だぞ。」

 

「はい。」

 

力なく答えて上げたその途端に視線が突き刺さり、慌てて視線を反らす。

 

「そんなすぐに動揺してどうする?」

 

無理だよ。私はふつーの女の子なのに。

 

「顔を上げたまま、では質問に答えろ。自白するなら許してやろうと思ったがやめた。」

 

“そんな”と、喉まででかかったけれど、懸命に堪える。80%はバレてるけど、まだ確証は無いし。

 

ニヤ。

え?お兄ちゃんなんで今笑ったの?

 

「桜は見に行ったと。」

 

「はい。」

 

「天気もよく、楽しかったと。」

 

「はい。」

 

順調に見える質問。でも、そろそろ仕掛けてくる?

 

「行ったのは四人。」

 

「はい」

 

「ダブルデートだったと。」

!!!

 

「返事は?」

 

平然と聞いてくる。

 

「は、はい。」

やっぱり全部ばれていた。

 

「質問は終わりだ。分かってるな?」

 

分かってない。体が危険信号を感知してるもん。

 

「嘘ついた罰と、素直じゃないその態度にお灸をすえてやる。」

 

ふえ。

 

「はい。」

 

「来い。」

 

「はい。」

 

「のろのろしてんじゃねえぞ。」

 

そういってぐいっと手を引っ張りスカートの上からバチン!

 

びっくりしてそのまま言葉を失う。

 

失ったままの方が良かった。

「いた〜い!」

パンツを遠慮なく下ろされた、むき出しのお尻に目から火が出る痛い一発が。

 

「ふざけんな!」

そういってさらに痛い次の一発が。間髪おかずにもう一発全くおなじ所に。

 

余りに痛くって、背中に力が入る。

 

我慢。でも、早くあやまらなきゃ。わかっているのに、痛いの堪えてると、ごめんなさいが言えない。

 

パチン パチン

 

お兄ちゃんは何も言わずにひたすら強烈に痛い平手を続けざまに打ち付けてくる。

泣く。泣くよ。痛い。

 

「ごめんなさい。」

「もうしません。」

 

いえないと思っていた言葉が自然に口をついていた。

 

 

「もうしません。か?」

「嘘ついてもすぐばれるんだぞ。この日向俊樹様に限って反抗しようなんて考えない事だな。」

 

「どうなるか思い知らせてやる。」

 

もう十分思い知ってるのに。

 

「はい。」

私だってバカじゃない。一応 ハイ なんて答える頭位ある。

 

「でも、十分に分かったので、もう。」

 

「甘い。」

 

バチン!

 

「ひっ」

 

それからたっぷり泣かされた。

お兄ちゃんには完敗。もともと勝とうとは思ってないけれど。

私の心が見えるよう。

 

よしと言われたとき、私はグロッキー状態だった。

 

「一週間外出禁止。」

 

だって。春休み〜という言葉はその時は出なかった。後で交渉するけど。でも、今はもう力ない。

 

「返事は?」

 

膝の上で「返事は?」と来たか。

 

「春休みでもう約束してしまってる予定があります。」

 

ビクビクしながら答える。

 

「外出するならその日は膝の上でお仕置きだ。」

 

「嘘ついた事は十分に反省してもらう。」

 

そういい残してお兄ちゃんは部屋を出て行った。

 

選ぶのは私?そんな。選べないよ。

 

でも選ぶんだろうな。

 

携帯を手に取る。。。先に謝ってしまえば、ここまで叱られなかったのかも。後悔先に立たず。

 

 

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