甘えたかった。

 

いつもそばにいて欲しい。毎日でも一緒にいたいよ。仁。

 

私、情緒不安定なのかな。

 

仁、じん。ジン。JIN

 

仕事が忙しいから平日会えない。

でもって、今週末は結婚式が入ってるだと!他人の幸せが何ぼのもんじゃ。と叫びたかったけれど、じゃあ、結婚式までの間お茶しよう。って言ってみたかったけど、疲れてるかなって思って言い出せなかった。最近忙しいの知ってるから。

 

何で。何でこんなにそばにいて欲しいんだろう。

不安なの。寂しいの。そう思って、一人タオルケットに包まっているとなんだかさらに寂しさが増えて仕舞いには涙がこぼれる。

 

どうしちゃったの?私。自分でも本当に良く分からない。

 

 

仁は私が不安定な事、気づいてもいない。まあ、当然だけど。

人間なんて、一人で生きて行くんだから。そう、急に思ってみたりと気持ちの乱高下が烈しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

携帯が鳴る。

先週末の悲劇のヒロインから脱出できないまま、水曜日。なんだかだるくって、金曜日提出のレポートを先延ばしにしてる。やる気ゼロ。大体の資料集まってるから、後は明日、まとめて書き上げればいい。

 

++

今週末もちょっと会うの無理そうだけど、代わりに明日の夜ご飯、空いてたら会おう

++

 

 

もちろん、週末会えないという苦々しい前についている文は気に留めないことにして、速攻返信。「もち。じゃあ、7時半ね」と強引に時間も決めると気分は一気に急上昇。

 

仁に会える時、急に酸素が自分の周りにあることに気がつく。

この世の中で生きている幸せを感じる。オーバーだけど、本当にそう。仁、大好き。

 

 

おめかしして出かけた木曜日。嬉しいご飯の最中にちょっと明日のことが心の片隅に引っかかる。

レポート、出さないと単位に響くから、絶対明日には提出しないと。

後はまとめて書き上げればいいだけとはいえ、文才の無い私は時間がかかる。

果たして間に合うかどうか。

 

「どうかした?」

何度と無く仁が聞く。

いけない。せっかくの仁とのデートだっているのに。大山が憎い。と教授に八つ当たり。

 

「うううん。なんでもない。夜景に見とれてた。」

 

「そう。」

 

「そうだよ。」

 

「有紗?」

じっと目を覗き込まれる。

吸い込まれそうになる。仁の目。このふさふさした睫毛に覆われた、まっすぐな視線に私は何度、泣かされたことか。でも、もう、十分に経験を摘んだし、これくらいかわせる。

 

「本当よ。」

そういってニッコリ微笑む。

 

私の笑顔に、ニッコリ微笑み返す仁の笑顔がまぶしい。

「僕に嘘つくなんて、百年早いよ。さあ、言ってご覧。何、気にしてるの?」

 

笑顔を崩さず、その発言。さすがと感心してる場合じゃないけど思わず『うっ・・・』となりそれからの私はボロボロ。

 

私の先生だった人は私の大好きな彼。敵わない。

どうしてもその人の前では嘘をつき通せない。

 

気になってるレポートがあると正直に言うと、時間がまだ早いというのに、仁はビールをあけるとお会計を頼んだ。

 

「やだ。」

「有紗。やだじゃないだろ。」

メっと私の顔を覗き込む。

 

「だって、週末会えないって。」

「はあ〜。全く困ったサンだな。」

 

「会ってお仕置きと、会えくて寂しいのとどっちにする?」

「そんなの。どっちもやだよ。」

 

「じゃあ、会ってお仕置きな。」

「やだって言ったのに。」

「それに、週末会えないっていったじゃない。」

 

段々我がままだと分かっているのに止まらなくなる。私、嫌な女になりたくないのに。

 

「今日これから会社戻って仕事、かたずけるさ。先週も会えなかったもんな。土曜日は無理だけど、日曜日、家においで。」

 

そいういって席を立って出口へ連れてかれた。

週末会えるようになってよかったのか悪かったのか、本当に私には判断がつかなかった。

仁のお家に、のこのこと出かけた日曜日、木曜日の宣告どおり実行された。

久しぶりにされたお仕置きは、とてつもなく痛くって、私が本気で涙を見せるまで終わらなかった。

 

「意地を張って、かわいいけどね、今回の事はちゃんとお仕置きが必要だからね。」

「許さないよ。」

そういって、お仕置きされたお尻が真っ赤になって、この上なく痛くて、仁が怖くって、どうしようもなくなって、何も考えられなくなった時にようやく、私の「ごめんなさい」に反応してくれた。

 

お仕置き終わった後の仁はとてつもなく甘かった。

大好きな仁が、大、大、大好きになっていた。甘える私を優しく包み込んで、Tシャツを涙でぐしょぐしょにしたら、笑って頭をなでてくれた。

 

 

どうして、あんなに寂しかったのだろう。あれは一週間前の出来事だというのに。

私の心は突然満たされている。

 

仁がいないと私は途端に脆くなる。きっとこんな事言ったら、有紗の人生なんだぞと言って叱られるかな。本当はもっと大人にならないといけない。かな。

 

「仁。ダイスキ。」

「俺も。」

そう照れもなく言ってくれる仁。私が不安だった事、もしかして気がついていた?

 

 

 

 

 

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