つまらない。今週は仁が相手にしてくれない。
つまらない。宝くじも当たらなかった。
つまらない。友達とご飯。それもつまらない。
私はこのままどうなるのだろう?未来が全く見えない。何もかも楽しい事はみんな過去の出来事。そんな風に思うと全てが、なんだかとてもつまらない。
きっぱりやめていたはずの例のものに手を出したのは、半ばわざとだったのかもしれない。何でもいいからかまってほしくって。仁は全然気がつかなかった。細心の注意を払っていたか、気がつかないのは当然なのに、それはそれで、また不満。そんな思いで随分たった頃、久しぶりにデートに出かけた。
仁の知らないところで私は悪さしているんだから。何も知らないで。ある意味デートの間得意になっていた。
前から約束していた,近所の夏祭り。私はいつもと違う浴衣姿。綿菓子を買ってもらう。何か買ってもらうなんて、なんだかすごく嬉しい。こんな些細なことでも私はとっても嬉しくなってしまう。やっぱり仁と一緒だと急に私の見える景色は色であふれるようになる。
なんであんな事してしまったんだろう。急に後ろめたくなる。でもとてもいえない。
「有紗?急に元気なくなってどうした?」
「なんでもない。」
「それなら、いいけど、浴衣だから疲れた?もう帰るか?」
仁は優しい。優しくって、やさしくって、自分の感情が不安定。
「うううん。なんでもない。」
そういったのに、心配した仁はまた聞いてくれる。
「どうした?」
とさらに優しく聞いてくれる。
「有紗が悪かったの。寂しくって、つまらなかったの。」
「わるかったって?」
「・・・」
「僕の怒るようなこと?」
黙ってうなずく。
「どうするかな。」
「とりあえず、家まで送っていこう。話は後でちゃんと聞くから。」
食べかけの綿菓子と団扇を手にして、ちょこちょこと歩く。さっきまであんなに楽しかった夜店の参道、もう少し居たいけど、先延ばしになんてできないよね。
浴衣ぬぐまで、久しぶりに仁はママと話している。このまま、ベットで寝ちゃってごまかせたらいいのに。後悔した心はどこか行ってしまい、正直に言ってしまったことのほうを後悔し始めていた。
「有紗、どうしたのかいってごらん?」
そういわれて、実は・・・。と簡単に言い出せるような話ではないよ。でも、ぐずぐずして、仁を怒らせたらもっとひどい事になるのは重々承知。
「たばこを久しぶりにちょっと吸ってみて、あ、でも、今はものすごく後悔しているの。本当。吸わなければ良かったって。」
「どうして?」
すぐ膝の上かと思ったのに
小声で言う。
「いろんなことが不安だったから。」
そういってしまうと急に悲しくなって、涙がポロって思っても見なかったのに零れ落ちた。
「不安だったら、何かに逃げるの?それがタバコなの?」
違う違うと首をふる。でも実際やってしまったことは仁の言うとおりなんだけど。
「タバコ吸っている時は気が晴れるの?」
「うん。まあ。」
「吸った後も?」
「えっと、本当の事言うと、仁に対して後ろめたくって・・・ちょっと気まずい感じが・・・残った。」
「僕に対してもそうだけど、自分に対してもだよ?自分でもう一生吸わないって約束したんだもんな?」
「・・・はい。」
「約束は覚えていても自制が効かなかったって事か。」
何もいえない。だってその通りだから。
「物差し、取っておいで。」
「じんー。」
見上げた仁の顔は有無を言わせぬいつものお仕置きをする時の怖い顔だった。
一度見上げた顔をもう一度みるなんて、とても恐ろしくってできなくて、取ってきた物差しをうなだれたまま差し出す。
「ベットにお腹つけて、四つんばいになりなさい。」
のろのろと戸惑いながら言われた格好をする。
「ジャージのズボン、自分で下ろして。」
そんなの、お仕置きだって分かっていたけれど、自分でするなんて。手がゴムに引っかかるけれど、おろす勇気とタイミングがつかめない。
ピシ
そのまま、ジャージの上から一打。
「できるまでずっと叩き続けようか?」
目をぎゅっと瞑って、パンツも一緒に下ろす。
「やればできるんじゃないか。言われた事はすぐにやりなさい。」
「だって。」
「だって?」
そういって、ピシっと一打。
「痛い!」
「いくつにする?」
こんなに痛いのに?
「自分に甘いようだから、タバコを吸おうと思うたびにお尻の痛さを思い出せるくらいの数が必要だからね。」
「ろく。とか。」
「そんな少しでいいの?」
いいよ。いいのに、これは完全に少なすぎた事を暗に言われてる。
「有紗?返事は?」
「10?」
「反省が足りないのがはっきり分かった。もういい。」
そういってピシーピシーと痛いお仕置きが何の予告もなく開始された。
仁、いくつ?有紗はこの厳しいお仕置きをいくつ受けるの?
聞きたいけど、聞けない。痛いといいたいけど、言ったらもっとひどくなるかもっともって、ひたすら耐える。
ピシー ピシー
体が叩かれるたびにビクッと反応してしまうというのに、ベットカバーをぎゅっと掴んで必死に耐える。
いったいいくつもらったのだろう?
ピシー ピシーと叩かれるたびに、この一打で最後にしてと心の中でお願いするのに、決まってその希望は裏切られ、新たな痛みが襲ってくる、一瞬忘れた痛みがすぐにまたはっきりとした痛みとして繰り返される。
「もう。反省した。」
「もう。駄目。ごめんなさい。もう。」
段々こらえ切れなくなる。
それでもお尻への痛みは終わらない。
「仁。じんー。」
あまりに痛くって、体がモゾモゾと動く。
「タバコはやめるね?」
「もう二度と吸いません。」
「ま、自分で我慢ができるというのを信じてるよ。」
よしよし。と笑顔が仁の顔に戻って優しく頭をなでてくれる。
「寂しかったの。」
わがままだって分かっていたけど、 だけど、仁は優しく頭を触ってくれていた。
本当はこんな事お仕置きされた後、言い訳のように言ったらいつもお仕置きのところだけど。こんな蚯蚓腫れのお尻の後じゃと思って許してくれたのかな?
「ごめんなさい。」
だまって抱きしめてくれた。
今日の仁は黙って包んでくれる。それだけで、私はすごく安心。私の『つまらない病』の原因は良く自分でも分からなかったけど、仁との約束を破ったりしたらいけないのは、改めて心に誓った。
結局自分で後悔する事になってしまうのだから。
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