「ねえ、見て。見て。」「すごくない?」
勿論、浩ちゃんの反応はいい。それはそうだよね。ミーハーだもん。
「すげー。抽選か。よく当たったよなー。」
「へー。いいなー。うらやましいなー。俺も行きたかったなー。」
そういわれると、ちょっとは自慢のしがいもあるっていうもの。かなり得意になって、気が緩んで、つい調子に乗ってべらべらとお仕置きされたことまでポロって喋ってしまった。
「超うれしかったのに、カズちゃんたら、酷いんだよ。」
「酷いって?佐緒里はどういう意味か分かっていっているの?」
あれれ?よもや予想もしなかった展開?ま、まさかね?
「カズ兄がなんでお仕置きしたのか、全然分かっていないみたいだね。」
「そ、そういうわけじゃあないよ。ちゃんと分かってる。うん。」
「じゃあ、どういうわけなのかいってごらん。」
「黙って遅くなったから。」
「そう。それは、8時なのに厳しすぎるというのは違うだろ。遅くなったのは事実なんだし。誰にも言わずに勝手に遅くなったのもいけないよね?」
「うん。」
「それなのに、お仕置きするの酷いなんていうの?」
「ごめん。」
そうでした。浩ちゃんの言っている事は正しいけど、正しいけど、味方してほしかったんだもん。
「じゃあ、自分でカズ兄に言える?」
「え?言えるって、何を?」
「反省足りてませんでしたって。」
「嘘だよね?浩ちゃんそんなこと言わないよね?」
「冗談でこんなことは言わないよ。自分で言ってきなさい。」
「ヤダ。浩ちゃんそんなこと言わないで。お願い。しなくっていいって言ってよ。」
ねえねえ。と腕をつかんで、オネダリしてみる。でも浩ちゃんは一歩も譲らない。
うそー。なんでこうなっちゃうの?自分がいけないとはいえ・・・。
「本当に言わないと駄目?」
「駄目。」
分かってはいたけれど、最後の悪あがき。
「浩ちゃん」
「駄目。あまりしつこいと怒るよ。お兄ちゃんがそういうの嫌いなの知っているだろ。」
「はい。」
もちろん、知っています。体育会系のお兄様方はそういうの嫌いなのは外でも家でも同じですから。
あーあ。またお仕置きだったら、どうしよう?その可能性あるよなー。カズちゃんの所に出頭か。
オニノナカガワ。びったりだけど、自分が当事者じゃなければ笑って気の毒がっていられるけど。
浩ちゃんなら甘いのにっていうのはもしかして違うのかな???
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