サイン会
由美と二人、列が進むごとにドキドキが高鳴り、興奮しまくり。
サイン会の抽選が当たって、かわいい‘A’を今から間近で見られる上に、今からサインがもらえるなんて、こーんなに幸せなことって、無い。
興奮覚めやらぬ中、家にかいると、カズちゃんが久しぶりにリビングでテレビを見ている。嫌な予感。
「帰ってたのー?おかえり!」努めて明るく言って、横を通って二階に上がろうとすると、
「遅かったな。」
「あ。うん。」
テレビを消してカズちゃんが近づいてくる。
「ちょっとおいで。」
「親に黙って夜遊びか?」
夜遊びって、まだ8時なんだけど。
やばい?かも…?
そのまま、リビングへ手を引かれて連行。今日は母親は父の所に言っているから、サイン会のことは誰にも言っていなかった。ていうか、調度よかった、ちょっと遅くなっても大丈夫なんて思っていたのに。
「あ、でも訳があって。」
「それは突然遅くなってしまった理由なんだろうな。」
「‘A’のサイン会に行ってたの。抽選でしか行けなくってそれが当たったんだよ。」
「じゃあ、事前に遅くなる事も分かっていたんだね。」
あれれ?なんかやっぱり様子がやばい方向に向かっているような。
「う、うーん。それは、まぁ。」
「別に行ってはいけないといっているんじゃないよ。遅くなるのなら、家の誰かに言っておきなさいと言ってあるだろう?」
「うん。」
「言っている事、分かるね?」
下を向いたら、ちらってお兄ちゃんの腕まくりしたシャツから覗く、筋肉質の右腕が目に入る。あわてて、目を逸らすけれど・・・。叩かれたらって想像してびくつく。
「ごめん。」
「何にも言わないで遅くなると心配しちゃうだろ?」
「来なさい。」
って、えー?
「だって、今日一日すごく楽しかったんだよ。」
「次からはちゃんと言うから。」
「駄目。来なさい。」
「お兄ちゃん。ねえ。ねえ。お仕置きしないで。ごめん。本当。今度からはちゃんと誰かに言ってからにするから。」
でも結局鍛えた体な上に男との人の力にはかなわない。
スカートがまくられパンツが下ろされる。
わーん。怖いよ。痛いの嫌だよぅ。
なんで、今日に限ってお兄ちゃんいるの?…ついてない…。
「悪いことした自覚があるのなら、言い訳しない。」
パーン。パーン。パーン。
「自分でも遅くなっていけなかったと分かっているんだろう?」
パーン。
「はい。」ひい。痛い。
パーン。
「そしたら、まず謝らなくてはいけないだろう?」
パーン。
「はい!」
う、痛い。ビシビシと来る痛み。
パーン。パーン。パーン。パーン。パーン。パーン。
もう何も言わずに只ひたすらお仕置き。でも、そんなーなんて思っていたから足をばたつかせ、膝の上からなんとかして、逃げ出そうと必死。
なんで、帰っているのよー。そしたら、こんな目に合わなかったのに。
痛い!足をばたつかせてしまう。痛い。痛い。もう駄目−。
「良く分かったね?」
「はい。もうしません。ごめんなさい。」
パーン。
「じゃあ、あと、10発最初に言ったとおり逃げようとした分、しっかり罰を受けなさい。」
パーン。パーン。パーン。
「痛いよう〜。」パーン。パーン。パーン。
じたばたもがくが一向に強さは変わらない。
「痛いのは当然だろう。」
「反省しているのなら、大人しくお仕置きを受けなさい。あと、4つだ。」
最後の方は特に痛い。
「ごめんなさーい」
「カズ兄、許してー。あーん。あーん。」
パシーン
よし、終わり。着替えて、ご飯食べなさい。
ベソかきながら、2階にトボトボと上がる。
きっと浩ちゃんだったら、ミーハーだからもっと甘かったのに。ていうか、浩ちゃんだったらきっとお仕置きされなかったのに、よりによって、カズちゃん…。超ついてない。今日一日の幸せは忘れられないけれど、このお尻のビリビリジンジンする痛みといったら。
やっぱり自慢したい。今度カズちゃんがいないところで浩ちゃんに自慢するんだから。
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